温度補正係数(K)の考え方:素材×設置形態(JIS推奨)で何がどう変わる?メーカー差はどこで合わせる?(K’0.85の使い分けつき)
1. まず結論(ここだけ読めばOK)
エネがえるの温度補正係数Kは、JIS C 8907:2005の考え方に沿って、
①太陽電池素材ごとの「最大出力温度係数(αPmax)」と、②設置形態ごとの「温度上昇量(ΔT)」で決まります。 (日本規格協会 JSA GROUP Webdesk)
エネがえるは、メーカーごとの個別温度係数(データシート値)には依存せず、JIS推奨の代表値で計算します(=説明可能性・運用一貫性を優先)。 (faq.enegaeru.com)
メーカー・モジュールごとの発電量に寄せたい場合は、原則として温度係数をいじるのではなく、基本設計係数K’(初期値0.85)を0.76〜0.90前後で校正するのが最短・安全です。 (faq.enegaeru.com)
2. エネがえるの発電量式の中で「温度補正K」はどこに効く?
JIS C 8907:2005の枠組みでは、時間別発電量 Ep は概ね次の形で表されます。
Ep = K’ × K × P × H ÷ G
K’(基本設計係数):温度以外も含めた「まとめ損失」ツマミ(初期値0.85・可変) (faq.enegaeru.com)
K(温度補正係数):セル温度上昇によるPmax低下を反映(今回の主題) (日本規格協会 JSA GROUP Webdesk)
P(太陽電池アレイ出力):モジュール出力×枚数(または出力値)。ただし最大はPCS出力値(=クリッピング前提) (faq.enegaeru.com)
H(時間別傾斜日射量):観測地点・方位角・傾斜角などから算出(METPV-20等の時刻別日射を傾斜面へ変換) (日本規格協会 JSA GROUP Webdesk)
G(標準試験条件の基準日射):基準化のための定数(STCの1kW/㎡相当を“1”として扱う説明が一般的) (日本規格協会 JSA GROUP Webdesk)
3. 温度補正Kの“中身”:素材(αPmax)×設置形態(ΔT)
温度補正は、ざっくり言うと次の発想です。
セル温度は、概ね
Tcell ≈ Ta(外気温) + ΔT(設置形態による上昇)出力低下率は、概ね
αPmax(%/℃)×(Tcell − 25℃)それを係数(倍率)にしたものが K
この枠組みはJIS C 8907:2005の「設計パラメータ」「屋根用アレイ温度上昇推定方法(参考附属書)」等と整合します。 (日本規格協会 JSA GROUP Webdesk)
4. エネがえるのプルダウン設定(JIS推奨の代表値)
4-1) 太陽電池素材(温度係数 αPmax)
エネがえるでは素材を選ぶと、温度係数(最大出力温度係数)が次の代表値になります(JIS推奨扱い)。 (faq.enegaeru.com)
結晶系(デフォルト):-0.44 %/℃
化合物:-0.31 %/℃
薄膜ハイブリッド:-0.35 %/℃
アモルファス:-0.21 %/℃
直感:数値の絶対値が大きいほど(例:-0.44)、暑いときに出力が落ちやすい。
結晶Siが高温で効率低下しやすい傾向は一般にも知られています。 (クール・ネット東京 東京都地球温暖化防止活動推進センター)
4-2) 設置形態(温度上昇量 ΔT)
設置形態を選ぶと、セル温度の上昇量の代表値(ΔT)が次になります。 (faq.enegaeru.com)
屋根置き(デフォルト):ΔT = 21.5 ℃
架台設置:ΔT = 18.4 ℃
建材一体:ΔT = 28.0 ℃
直感:放熱しにくいほどΔTが大きくなり、温度損失が増えます(建材一体が最も不利になりやすい)。 (エネガエル)
5. どの選択肢を選べばいい?(実務の選び方)
素材(αPmax)は「モジュール種別の大分類」で選ぶ
住宅・産業用で一般的な結晶Si → 結晶系(まずデフォルト)
高温特性を重視する薄膜系 → 薄膜ハイブリッド/アモルファス等(該当時)
設置形態(ΔT)は「放熱のしやすさ」で選ぶ
屋根に密着気味/スタンドオフ小 → 屋根置き
通風が確保される架台・野立 → 架台設置
屋根材・壁材と一体で熱がこもりやすい → 建材一体 (環境省)
6. どれくらい発電量が変わる?(超かんたん例)
例:外気温Ta=15℃、素材=結晶系(-0.44%/℃)のとき
ケースA:屋根置き(ΔT=21.5℃)
Tcell ≈ 15 + 21.5 = 36.5℃
STC 25℃との差:+11.5℃
出力低下:11.5 × 0.44% ≈ 5.1%低下(ざっくり)
→ 温度だけで 約-5% 効くイメージ
ケースB:建材一体(ΔT=28℃)
Tcell ≈ 15 + 28 = 43℃
差:+18℃
出力低下:18 × 0.44% ≈ 7.9%低下
→ 温度だけで 約-8%
重要:これは温度要因だけの差。ここに汚れ・影・配線・ミスマッチ等が加わり、最終的にK’側で“まとめ損失”として効いてきます。 (日本規格協会 JSA GROUP Webdesk)
7. 「メーカー・モジュールごとの発電量に寄せたい」場合の最短手順(推奨)
エネがえるは温度係数をメーカー個別値に依存させない設計です。
その代わりに、K’(基本設計係数)で現場・メーカー差を校正します。 (faq.enegaeru.com)
推奨手順(実務で事故りにくい)
素材・設置形態は実態に合わせて選ぶ(上の5章)
まず K’=0.85 で推計(標準)
メーカー想定(または実測)と比べて、比率でK’を調整
目安:K’new = K’old ×(実測 or メーカー想定kWh / 推計kWh)
目安レンジ:0.76〜0.90前後で収めることが多い(大外れは原因診断へ) (faq.enegaeru.com)
注意(ここが重要)
もし20%以上ズレるなら、K’を動かす前に、
鳥糞等の汚れ/影/停止・故障/配線不良/クリッピングを疑うのが最短です(原因の見落とし防止)。 (faq.enegaeru.com)
8. P・H・Gの入力でつまずきやすいポイント(試算精度に直結)
P(アレイ出力)
「モジュール出力×枚数」でも「出力値直入力」でもOK
ただし 最大はPCS出力として扱われるため、DC/AC比が高いとピークが頭打ち(クリッピング)になります。 (faq.enegaeru.com)
H(時間別傾斜日射量)
観測地点(METPV-20等)+方位角・傾斜角から傾斜面へ変換
時刻別で持てる日射DBを使うのは、TOUや蓄電池の差分試算のために重要です。 (日本規格協会 JSA GROUP Webdesk)
G(基準日射)
規格式の基準化定数(STCの1kW/㎡相当)として扱われます。 (日本規格協会 JSA GROUP Webdesk)
参考リンク(一次・根拠)
JIS C 8907:2005(JSAプレビューPDF)
https://webdesk.jsa.or.jp/preview/pre_jis_c_08907_000_000_2005_j_ed10_ch.pdfJIS C 8907:2005(閲覧用)
https://kikakurui.com/c8/C8907-2005-01.html環境省資料(設置形態別ΔT:18.4/21.5/28.0が記載)
https://www.env.go.jp/content/900449212.pdfエネがえる解説(JIS×METPV20、ΔTの扱い解説)
https://www.enegaeru.com/jis-c-89072005-metpv20(参考)温度係数の一般的範囲(結晶Si -0.40〜-0.50%/℃言及)
https://www.enegaeru.com/pv-jis-simulation
