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試算精度を高める解像度 - 「平均評価」(Excelなど)と「分解評価(時間帯・月別別)」(エネがえる)の違いは?

以下に平均でざっくり計算してしまうリスクと、エネがえるでの試算・計算の解像度(時間帯・月別)について解説しています。

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対応者:樋口 悟
今週アップデートされました

📒 10秒で要点

  • 平均(年平均・月平均)は“説明用”:分かりやすいが、ピークや季節差・平日/休日差が隠れて投資判断を誤りやすい。

  • 分解(時間帯別・季節/曜日別)は“判断用”本当に効く時間・効かない季節・運用改善余地が見える。

  • エネがえるは、用途に応じて 月別/時間帯別〜365日毎時〜365日30分値まで解像度を上げ、判断のブレを減らします(特に市場連動やPPAでは重要)。


1) 図解は何を伝えている?

添付の図は「平均だけで見ると結論を誤る」理由を、次の3段階で示しています。

  • 平均評価(年・月平均)

    • 直感的で説明しやすい一方、実態(ピーク、季節差、曜日差)を平均が“塗りつぶす”

  • 時間帯別評価(ピーク/非ピーク)

    • ピークがどこか、対策(太陽光・蓄電池・EV充電制御・DR等)が料金/単価に効く時間が分かる

  • 季節・曜日別評価(夏冬・平日/休日)

    • 夏だけ逆転休日は効かないなど「需要構造」が見え、設備容量・制御方針・投資優先度が変わる

結論:平均は説明用、分解は判断用(図のメッセージそのもの)


2) なぜ「平均」だけだと投資判断を誤るのか(原理)

平均は、数学的に「合計/期間」で情報を圧縮します。圧縮の代償として、投資判断に効く“形”が消えます。

平均が隠す3つの重要情報

  1. ピーク(最大値)とその発生時間

    • 基本料金(需要/デマンド)やピーク単価があると、平均kWhが同じでも支払いが全く違う

  2. 季節差(夏冬・月別の負荷/発電差)

    • 発電(太陽光)と需要(空調等)の季節パターンが噛み合わないと、年間平均の“お得”が実現しない

  3. 曜日差(平日/休日)

    • 工場・オフィス・店舗は曜日パターンが強く、休日に発電しても使いきれない/単価が低いなどで効果が変わる


3) 分解評価で「分かること」チェックリスト(図の右側の要旨)

分解すると、次がハッキリ言語化できます。

  • 本当に効く時間:ピーク時間・高単価時間帯に対策が乗っているか

  • 効かない季節/曜日:余剰・逆効果・売電/市場連動での損益悪化が起きる区間

  • 運用改善余地:制御(充放電・充電・デマンド抑制・シフト)で上振れする余地


4) 需要家提案(営業・設計)での“分解前提”のポイント

A. ヒアリングは「平均」ではなく「形(プロファイル)」を取りに行く

最低限、次を押さえると提案の精度が跳ねます。

  • ① 需要:月別(12か月)の使用量 or 電気代

  • ② 需要:ピークが出る時間帯(朝立上り/昼/夕方/夜間、操業・空調の癖)

  • ③ 需要:休日稼働(週末/祝日、繁忙期)

  • ④ 料金:時間帯別・市場連動・デマンド契約の有無

  • ⑤ 制御余地:生産・空調・EV充電・蓄電池の運用制約(何時に動かせるか)

B. 設備別に「効くロジック」が違う(分解しないと混ざる)

  • 太陽光:昼に発電(季節で山が動く)

  • 蓄電池:“高い時間に放電”が価値(ピーク/単価に依存)

  • EV/V2H:充電時間の設計が価値(夜間・休日・太陽光余剰の使い分け)

  • PPA(特にオフサイト):受電側の負荷形状×市場価格×発電形状で価値が決まる(平均では無理)


5) エネがえるの「計算解像度」がなぜ効くのか(さりげなく本質)

結論:解像度=“判断の粒度”=投資判断の再現性

同じ「年間○円削減」でも、その内訳が

  • いつ(何時)

  • どの月/季節

  • 平日か休日か

  • 単価がいくらの区間か
    まで落ちているほど、(1)再現性が上がり、(2)反証(監査)でき、(3)運用改善で上振れできる


6) エネがえるの計算ロジック(プロダクト別まとめ)

6.1 共通:発電量(太陽光)は「JISの推定枠組み」+「NEDO日射DB」

  • 発電量推定は JIS C 8907(太陽光発電システムの発電電力量推定方法)をベースに、設置条件・温度影響等を考慮して算定します。(日本規格協会 JSA GROUP Webdesk)

  • 日射量は NEDOのMETPV-20(全国835地点、統計期間2010〜2018年の毎時推定値:平均年/多照年/寡照年)を参照して反映します。(NEDO)

ここが“平均で誤る”核心:発電も需要も「時間の形」が価値を決めるため、日射も負荷も時系列で持つほど判断が安定します。

6.2 エネがえるASP / EV・V2H:需要(消費量)の月別・時間帯別反映

  • 入力が「1か月分のkWh」または「電気代」しかなくても、季節変動を統計に基づく係数で補正し、月別へ展開(都道府県別の補正を組み込む運用)

  • 根拠データの代表例:総務省統計局「家計調査」など、月次で家計支出・光熱の季節性を確認できる公的統計(総務省統計局)

※ここでのポイントは「完全に当てる」よりも、平均入力しかない局面で“季節の形”を入れて判断ミスを減らすこと。

6.3 エネがえるBiz(産業用):365日×1時間ごと(毎時)の需要×発電×制御

  • 30分値デマンドデータをインポートできる場合:実データを基に、計算用に整形して毎時ベースで評価

  • デマンドが無い場合:業種別ロードカーブテンプレ×カレンダー定義×12か月消費量から、365日×毎時の仮想デマンドを生成して試算

  • 目的:平均ではなく、操業×季節×曜日の“需要構造”を再現して、容量・制御・料金適合を判断できる状態にする

6.4 エネがえるコーポレートPPA(現:オフサイト・フィジカルPPA):365日×30分値

  • オフサイトPPAは、一般に Physical(Sleeved)Virtual に大別され、電力の取扱い/環境価値の移転が異なります。(環境省)

  • 市場連動型の評価で重要なのが「市場の時間粒度」。JEPXスポットは30分単位(48コマ)で価格が決まります。(JEPX)

  • そのためコーポレートPPAでは 365日×30分値で計算し、市場連動型プランにも対応(※日射はMETPV-20が毎時のため、30分値へ換算して反映)


7) 提案時の“使い分け”テンプレ(そのままトークに使える)

① まず平均で腹落ち(説明)

  • 「年間・月間でざっくり○円」

  • 「導入の方向性(太陽光/蓄電池/EV/V2H/PPA)」

② 次に分解で意思決定(判断)

  • 「効くのは何時〜何時

  • 「効かないのは冬(or夏)/休日

  • 「だから容量は**○kW・○kWh**、運用はこの制御

③ 最後に“運用の上振れ”まで提示(差別化)

  • 「ピークに合わせた運用で、削減はここまで上振れ」

  • 「市場連動なら30分粒度でリスクも見える(ヘッジ方針まで)」(JEPX)


8) よくある失敗パターン(平均主義の事故)

  • 年間kWhだけで容量を決めて、ピークが落ちず基本料金が下がらない

  • 夏の空調ピークを見ずに、蓄電池が“昼の余剰処理”になって放電価値が出ない

  • 休日稼働を見ず、発電余剰が増えて想定と損益がズレる

  • 市場連動なのに時間粒度が粗く、高騰コマ(30分)のリスクを見落とす(JEPX)


9) FAQ

Q1. 「平均はダメ」なら、平均は使わない方がいい?

いいえ。平均は“理解”と“合意形成”に強いです。
ただし、投資・容量・契約・運用を決める局面では、必ず時間帯/季節/曜日へ分解してください(図の主旨)。

Q2. デマンドデータが無い需要家は、精度が出ないのでは?

デマンドがあるのが最善ですが、ない場合でも

  • 業種テンプレ

  • カレンダー(稼働日)

  • 月別消費(12か月)
    で「形」を再現でき、平均入力のまま判断するより誤差が小さくなる設計にできます。

Q3. PPAで30分値にこだわる理由は?

市場連動の評価は「市場価格の粒度」に合わせないとリスクが滲みます。JEPXスポットは30分ごとに価格決定1日48コマで取引されます。(JEPX)


10) 参考(制度・一次情報)

  • NEDO:MONSOLA-20 / METPV-20(WEB版日射量DB)(NEDO)

  • NEDO:METPV-20の解説(統計期間2010–2018、835地点、毎時推定値)(NEDO)

  • JIS C 8907(太陽光発電システムの発電電力量推定方法)(日本規格協会 JSA GROUP Webdesk)

  • 総務省統計局:家計調査(家計収支・月次)(総務省統計局)

  • JEPX:スポット市場は30分単位(48商品)(JEPX)

  • 環境省:PPA等の第三者所有・手引き(政府施設向け)(環境省)

  • コーポレートPPA(オフサイトPhysical/Virtualの整理)(環境省)


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