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【ASP、Biz】垂直パネルの提案をするには?

エネがえるはJIS発電量計算式+NEDO METPV20日射量で発電量を推定します。以下の設定で垂直パネル発電量を含めたシミュレーションが可能です。

樋口 悟 avatar
対応者:樋口 悟
一週間前以上前にアップデートされました

1. そもそも JIS 式のどこで何が効いているか

エネがえるの太陽光発電量は、JIS C 8907:2005 に基づく式で計算しています:(エネガエル)

[Ep = K' × K × P × H ÷ G]

  • Ep:時間別/月別システム発電量

  • K':基本設計係数(配線・MPPT・インバータなどの“構造的ロス”)

    • JIS 推奨値はおおむね 0.75〜0.8 だが、
      エネがえるでは実態に合わせて 初期値 0.85 を採用。(エネガエル)

  • K:温度・影・経年などの補正係数(JIS では KH, KP, KB, KC の積)(Kikakurui)

  • P:太陽光アレイ出力(kW)

  • H:傾斜面日射量(kWh/㎡・時/月)

    • NEDO「METPV-20」から取得し、傾斜角・方位角で決まる。(NEDO)

  • G:基準日射強度(1.0 kW/㎡)

垂直パネルの場合に変わるのは「H(傾斜面日射量)」と、設置形態に応じた「温度補正(K の一部)」であって、K' はそのままでも理屈上問題ありません。


2. 垂直パネルの扱い方(エネがえるBiz向けの設計イメージ)

2-1. 傾斜角・方位角で「垂直」を表現

METPV-20 は「傾斜角 β」「方位角 γ」を与えると、任意面の斜面日射量を計算できます。(NEDO)

  • 傾斜角(β)

    • 水平=0°

    • 一般屋根:20〜30°

    • 垂直パネル:β=90°

  • 方位角(γ)(METPV-20 の約束)(NEDO)

    • 南:0°

    • 西:90°

    • 北:180°

    • 東:270°

👉 エネがえるBizの内部表現としては:

  • 「垂直パネル」は 傾斜角 90° を指定するだけで OK

  • 南向き壁面:β=90°, γ=0°

  • 東向き壁面:β=90°, γ=270°

  • 西向き壁面:β=90°, γ=90°

JIS C 8907 の式では、ここで得られる斜面日射量 Hがそのまま Ep 式に入ります。(環境省)


2-2. 基本設計係数 K'(0.85)は「そのまま」で良い

JIS では総合設計係数 K を、基本設計係数 K' と温度補正係数 KPT の積で表しています:(環境省)

[K = K' × K_PT]

  • K' に入るのは

    • 日射年変動(KHD)

    • 経年劣化(KPD)

    • 配線損失(KPA)

    • 負荷整合(KPM)
      など、「設置角度とは無関係な構造的ロス」がメイン。(環境省)

したがって、「垂直だから発電量が減る」は、H(傾斜面日射量)側で表現するのが JIS の思想

なので、K'=0.85 はそのまま共通値で使い、垂直・傾斜・方位の違いは H と温度補正で吸収するのがきれいです。


2-3. 設置形態(野立て/屋根上/建材一体型)は「温度補正」の入力

JIS C 8907 では、温度補正係数 K_PT を求めるために、
設置方式ごとのモジュール温度上昇係数 f1, f2を定義しています。(エネガエル)

例(結晶系シリコン):

設置形態

JIS用語

代表例

f1

f2

野立て(架台)

架台設置形(裏面開放形)

野立て架台、屋根から浮かせた架台

46

屋根上

屋根置き形

折板屋根上の架台、瓦屋根置き

50

建材一体型

建材一体形/屋根一体形

BIPV屋根・壁面パネル等

57

建物エネルギー計算の最新ガイドラインでも、
壁用アレイ・窓用アレイ等は「屋根一体型」と同じ(より保守的な)温度上昇として “その他” にまとめて評価しており、BIPV 系は安全側の値を使うのが一般的です。(kenken.go.jp)

👉 エネがえるBizでの実装イメージ:

  1. 設置形態マスタ

    • 「野立て(裏面開放)」 → 架台設置形(f1=46, f2=0.41)

    • 「屋根上」 → 屋根置き形(f1=50, f2=0.38)

    • 「建材一体型(屋根/壁)」 → 建材一体型/屋根一体型(f1=57, f2=0.33)

  2. 気温 T_amb と日射量からモジュール温度 T_cell を推定し、
    最大出力温度係数 α_Pmax と組み合わせて K_PT を求める。(エネガエル)

  3. 垂直パネル(壁面 BIPV)は「建材一体型」+傾斜角 90° として扱う。


3. 具体的な「表現」案(エネがえるBizの設定項目として)

3-1. UI/仕様上のパラメータ設計

① 基本設計係数(K')

  • ラベル:「基本設計係数 K'」

  • デフォルト値:0.85(JIS推奨値 ~0.76 を実績に合わせて調整している旨をヘルプに記載)(エネガエル)

  • 設置角度・設置形態に依存させない(共通値)

  • 高精度案件やメーカー条件がある場合のみ、詳細設定画面で上書き可能


② 傾斜角(β)

  • ラベル例:「傾斜角 β(水平=0°, 垂直=90°)」

  • 入力範囲:0〜90°(あるいは 0〜89°+「垂直」のプリセット)

  • プリセット案:

    • 屋根勾配から自動変換

    • 「垂直(壁面)」を選ぶと β=90° にセット


③ 方位角(γ)

  • METPV-20 と同じルールで説明:(NEDO)

    • 南:0°、西:90°、北:180°、東:270°

  • ラベル例:「方位角 γ(南=0°, 西=90°, 北=180°, 東=270°)」


④ 設置形態

  • ラベル:「設置形態(温度補正用)」

  • 選択肢:

    1. 野立て(裏面開放)→ 架台設置形

    2. 屋根上 → 屋根置き形

    3. 建材一体型(屋根・壁) → 建材一体型/屋根一体型

  • 「建材一体型」を選ぶと、壁面垂直や窓一体型も含めて
    温度上昇が大きい前提(安全側)」の K_PT が使われることをヘルプで明記(kenken.go.jp)


3-2. 垂直パネルの例(仕様説明用テキスト案)

顧客向けの説明としては、こんな感じで表現できます:

垂直パネル(壁面・建材一体型)の発電量は、
JIS C 8907:2005 に基づき、

  • 傾斜角 β=90°

  • 方位角 γ(南=0°/東=270°/西=90°/北=180°)

  • 設置形態「建材一体型」(温度補正係数)
    を指定したうえで、NEDO「METPV-20」による傾斜面日射量 H を用いて推計しています。
    基本設計係数 K' は、野立て・屋根上と同一の 0.85 を用い、
    角度・方位による発電量の違いは日射量 H 側で評価しています。(エネガエル)


4. まとめ:質問の「どう表現したらいい?」への答え

垂直パネルを JIS 式+エネがえるBizで扱う場合の整理:

  1. K'(基本設計係数)

    • 垂直でも水平でも 共通で 0.85 を採用(必要なら詳細設定で上書き)。

  2. 傾斜角

    • 垂直パネルは 傾斜角 β=90° で表現。

  3. 方位角

    • METPV-20 と同じルールで γ を指定(南0°, 東270°, 西90°, 北180°)。

  4. 設置形態

    • 野立て:架台設置形(裏面開放)

    • 屋根上:屋根置き形

    • 建材一体型(垂直壁含む):建材一体型/屋根一体型相当(温度上昇大きめ=安全側)

この組み合わせで、

「基本設計係数(0.85)× 傾斜角 × 方位角 × 設置形態」

という4つのパラメータにきれいに落とし込みつつ、
JIS C 8907 のロジックと NEDO METPV-20 の日射量データをそのまま活かして垂直パネルの発電量を推計する、という整理になります。


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