エネがえるが公開した試算記事「倉庫の屋根の太陽光はPPAと自己所有どっちが得?蓄電池も含め常温・定温・冷凍冷蔵720ケースを実試算【2026年11月最新単価】」の要点を、販売施工店・EPC・PPA事業者の皆さまが物流倉庫のお客様(物流会社・荷主・倉庫オーナー)へご説明する際の参考としてまとめました。数値は合成した需要プロファイルによる傾向で、個別の倉庫の結果を保証するものではありません。
3つの答え
自己所有の太陽光は8施設とも元が取りやすい見込みです。施設内で使い切れる大きさ(自家消費サイズ)の72ケースすべてが、保守費・パワコン交換込み・補助金なしで10.7年以内に回収し、中央値は7.9年でした。屋根いっぱいに載せて余りを売る場合(屋根設置の2026年度の価格:1〜5年19円・6〜20年8.3円。50kW以上はFIPで、基準価格で売れると簡略化)も72ケースすべて10.7年以内です。一方、逆潮流なし(余りを捨てる)で屋根いっぱいにすると、小さな常温倉庫は約12〜17年(電気代上昇2%の中央値で約14.5〜15.2年)に延びます。
PPAか自己所有かは「誰が投資するか」と「倉庫の大きさ・温度帯」で決まります。買電の回避単価は約20.6〜22.8円/kWh(税抜、電気代上昇2%)で、PPA単価13〜17円なら216ケースすべてで需要家は1年目から得をします。20年の正味では、PPA(15円)より自己所有が8施設すべてで大きくなりました。一方、PPA事業者(テナント型倉庫ではオーナー)のIRRは15円で約0.9〜5.8%、17円で約2.7〜7.9%で、小さな常温倉庫ほど採算が合いにくい結果です。
蓄電池が電気代だけで成り立つのは「余りを捨てている常温倉庫」です。屋根いっぱい・逆潮流なしの常温倉庫では54ケース中51が15年以内に回収しましたが、自家消費サイズの常温は54ケース中5、冷凍冷蔵は0でした(最大需要の削減は完全予見の7割と仮定)。余りを売電できる場合、蓄電池で回収できる価格は延床5千・2万m²で約15.3万円/kWh(0.2時間分の中央値。5万m²は約12.3万円)で、想定価格14万円/kWhを1割弱上回る程度です。
押さえたい数字
項目 | 試算結果 |
余る電気(屋根いっぱい) | 常温5千・2万m²で発電の約42〜44%(屋根いっぱいの太陽光は契約電力の約3倍)、常温5万m²(4階建て)約16%、定温0〜6%、冷凍冷蔵0%。余りの大半は土日と春の昼 |
常温2万m²の20年の正味 | 自家消費サイズ約0.65億円、屋根いっぱい+売電(19円→8.3円)約1.45億円(約2.2倍)、FIT・FIPなし8円で約1.23億円。ただし投資額は約2.9倍で、IRRは自家消費サイズのほうがやや高い(約10.3%対約9.3%) |
売電の区分 | 2026年度の新規認定では、屋根設置でも50kW以上はFIPのみ(入札は免除)。FIPの実収入は市場価格とプレミアムで決まり、基準価格を下回る可能性があります。初期投資支援スキームの認定は、期間中にFIT・FIPの契約外で売電できないなどの条件つきです |
基本料金 | 太陽光で下がる契約電力は約2〜4%。そのため回避単価は平均単価より約2〜6円低い |
フォークリフトの充電 | 常温2万m²・関東・屋根いっぱい・逆潮流なしで、20台×1日20kWh(仮定)の充電の電気代は夜の充電で年約203万円、余りがあるときだけ充電で年約19万円 |
冷凍冷蔵倉庫 | 屋根いっぱいでも電気の約13%。延床2万m²・関東で冷凍機の電力を2割減らす効果(年約2,300万円、冷凍機7割の仮定)が太陽光(年約1,880万円)を上回る |
停電時(蓄電池だけ) | 常温の情報系・照明(契約電力の15%と仮定)は0.4時間分で約2.4時間。定温・冷凍冷蔵は出力が足りず0時間 |
制度(2026年度) | 物流効率化法が2026年4月に全面施行(特定事業者に中長期計画・定期報告。特定倉庫業者は保管量70万トン以上)。省エネ法では2026年度の中長期計画書から屋根置き太陽光の目標、2027年度の定期報告書から設置できる屋根面積などを記載(設置の義務ではない。エネルギー管理指定工場等の1建屋1,000m²以上の屋根などが対象) |
前提:常温・定温・冷凍冷蔵×延床5千・2万・5万m²の8倉庫(冷凍冷蔵5万m²は除外)×関東・関西・九州の高圧料金、電気代上昇率1〜3%、税抜、補助金なし。需要の形・設置費の規模効果・PPA事業者の費用・重要負荷の比率は仮定です。
トーク例(断定を避けた言い方)
「公開試算では、倉庫の屋根の太陽光は自己所有で7〜10年前後で回収する傾向でした。まず30分デマンドデータで、土日と春の余りがどれくらい出るかを確認させてください。」
「屋根いっぱいに載せるかどうかは、余った電気を売るのか、他の拠点に送るのか、フォークリフトの充電で使うのかで決まります。50kW以上の売電はFIPになるため、実際の売電収入は見込みより下がる場合があります。逆潮流なしの補助を使う場合は、余りを吸収する設計が前提です。」
「PPAなら初期費用ゼロで1年目から電気代が下がります。20年の総額では自己所有のほうが大きく残る傾向なので、資金と保守の体制で選びましょう。」
「冷凍冷蔵倉庫は、太陽光と同時に冷凍機の更新時期を確認させてください。公開試算では冷凍機の省エネのほうが削減額が大きい結果でした。」
エネがえるBizで同じ比較をするポイント
お客様の30分デマンドデータ(1年分)を取り込み、土日・祝日と季節ごとの余剰を確認します。データがない場合は業種別ロードカーブを使い、その旨をお客様に伝えます。
自家消費サイズ/屋根いっぱい(売電あり・なし)/+蓄電池のパターンを作り、回収年数と20年の正味の両方を並べます。
PPAをご提案する場合は、お客様の回避単価(削減額÷自家消費量)とPPA単価を並べて示します。
電気料金の単価・上昇率・保守費・売電単価などの前提条件を提案書に明記します。
ご注意
記事の数値は合成プロファイルによる傾向で、個別の倉庫の結果ではありません。「必ず元が取れる」とはお伝えにならないでください。
屋根の積載荷重(架台を含め1kWあたり100kg以上が目安)、防水の更新時期、受変電設備の余力は別途確認が必要です。テナント型倉庫では、オーナーとテナントの契約期間と退去時の扱いを確認してください。
FIT・FIPで売った電気の環境価値はお客様のCO2削減に数えられません。蓄電池の自立運転への切替は無停電ではないため、止められない機器はUPSで守る必要があります。
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