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「ホテル・旅館の太陽光・蓄電池は元が取れる?」と聞かれたら(給湯・温泉の電化まで216ケースの試算より)

ビジネスホテル・シティホテル・温泉旅館・大型旅館を4施設×3エリア×太陽光2×蓄電池3×上昇率3の216ケースで試算した結果をもとに、太陽光・蓄電池・停電対策・給湯と浴場加温の電化の説明ポイントをまとめました。

対応者:樋口 悟

エネがえるが公開した試算記事「ホテル・旅館の太陽光・蓄電池は元が取れない?給湯・温泉の電化まで216ケースを実試算【2026年11月最新単価】」の要点を、販売施工店・EPCの皆さまがお客様(ホテル・旅館)へご説明する際の参考としてまとめました。数値は合成した施設の需要プロファイルによる傾向で、個別の施設の結果を保証するものではありません。

3つの答え

  1. 太陽光は、ホテル・旅館なら元が取りやすい見込みです。太陽光のみの72ケース(4施設×3エリア×太陽光2通り×電気代上昇率3)すべてが、保守費・交換費込みで12.0年以内に回収し、中央値は9.0年でした。夜も需要が残るため発電をほぼ余らせません(自家消費率98%以上)。ただし、まかなえる電気はホテルで数%、旅館で約5〜23%です。

  2. 蓄電池は電気代の削減だけでは元が取りにくい結果です。蓄電池を足した144ケースで、上乗せ分が15年以内に回収できたケースは0(完全予測の上限でも0)。今回の合成プロファイル(4施設とも同じ形)では電気の山が夕方〜夜の約7時間続くと仮定しており、契約電力の0.2〜0.4時間分では最大需要が約4〜6%しか下がらないためです。実際のピークが短く尖った施設では結果が変わりうるため、30分デマンドデータで確認してください。停電時は出力(kW)が重要負荷を下回ると0時間です。

  3. 太陽光より先に、給湯・浴場加温の電化と貯湯槽。ヒートポンプ+貯湯槽で需要の谷の時間に沸かすと、年間の差額はビジネスホテル約89万円、シティホテル約575万円、30室の温泉旅館約321万円、100室の大型旅館約863万円(関東、都市ガス税込120円/m3・A重油140円/L・COP3.0の仮定、機器費は含まない)。貯湯槽なしだと差額は施設により約2割〜4割小さく、都市ガス90円/m3・COP2.5では逆転します。

押さえたい数字

項目

試算結果

太陽光の回収年数(保守費・交換費込み)

6.7〜12.0年(中央値9.0年)。エリア別中央値は関西8.4年・関東9.1年・九州9.9年。大型旅館の屋根100kW(関東)は約7.9年

エネルギー費に占める燃料の割合

旅館 約24〜38%、ホテル 約12〜13%(関東、給湯・浴場加温の分のみ)。温泉旅館の熱の7〜8割は浴場の加温・保温

蓄電池で元が取れる価格(15年)

現実的な制御で中央値 約4.6万〜7.6万円/kWh(施設・容量別)。完全予測の上限の最大は約13.9万円/kWhで、想定価格14万円/kWh(税抜)とほぼ同水準

停電時(蓄電池+屋根の太陽光だけ)

重要負荷を契約電力の15〜20%と仮定:0.2kWh/kW・出力0.5Cで0時間、0.4kWh/kWで約2.0〜2.6時間。大型旅館で3時間守るには約193kWh(約2,700万円)

発電機と組み合わせた場合

72時間の重要負荷のうち屋根の太陽光が賄う割合は温泉旅館 約35%(燃料が約1.5倍もつ)、大型旅館 約24%(約1.3倍)。発電機と連系できる設計が前提

統計(参考)

観光庁 宿泊旅行統計調査(2025年確定値):客室稼働率 旅館38.2%、ビジネスホテル75.3%、シティホテル74.1%。日本旅館協会(令和6年度決算):人件費29.7%、業務費(光熱費を含む)16.6%、経常利益7.6%(総売上高比)

前提:4施設(ビジネスホテル100室・高圧140kW、シティホテル300室・高圧1,000kW、温泉旅館30室・高圧80kW、大型旅館100室・高圧400kW)×関東・関西・九州、電気代上昇率1〜3%、税抜。給湯量・浴場の熱量・燃料単価・COP・重要負荷の比率は仮定です。

トーク例(断定を避けた言い方)

  • 「ホテル・旅館は夜も需要が残るので、屋根の太陽光の電気をほぼ全部使い切れます。公開試算では保守費込みで9年前後で回収する傾向でした。30分デマンドデータで確認させてください。」

  • 「公開試算の想定では電気の山が夕方から夜まで長く続くため、蓄電池は電気代だけでは勧めにくいという結果でした。御社のデマンドデータで山の長さを確認したうえで、停電対策として何を何時間守るかを決め、出力が重要負荷を上回るかを確認しましょう。」

  • 「ボイラの燃料(重油・LPガス・都市ガス)の請求書を見せていただけますか。給湯と大浴場の熱をヒートポンプと貯湯槽に替えると、太陽光より大きな差額が出る可能性があります。」

  • 「何もしなければ、電気代と燃料費が年2%上がるだけで、100室の旅館では20年で約3.1億円の負担増になる試算です。」

エネがえるBizで同じ比較をするポイント

  • お客様の30分デマンドデータ(1年分)を取り込み、年間の最大需要が出る時刻と長さを確認します。データがない場合は業種別ロードカーブを使い、その旨をお客様に伝えます。

  • 屋根のみ/屋根+カーポート/+蓄電池のパターンを作り、蓄電池の上乗せ分で回収できるかを確認します。蓄電池は電気代の削減と停電対策の価値を分けてご説明ください。

  • 給湯・浴場加温の電化を見込む場合は、ヒートポンプの電力を加えた需要で太陽光・蓄電池の試算をやり直し、契約電力が上がらない運転(貯湯槽)を前提にします。

  • 電気料金の単価・上昇率・保守費・燃料単価などの前提条件を提案書に明記します。

ご注意

  • 記事の数値は合成プロファイル(4施設とも同じ需要の形)による傾向で、個別施設の結果ではありません。「必ず元が取れる」「停電しても営業できる」とはお伝えにならないでください。

  • 停電時に太陽光を使うには、自立運転機能や発電機と連系できるパワーコンディショナ、切替盤が必要です。ピークカット用の蓄電池は自立運転への切替に時間がかかる機種が多く、予約・決済・通信機器など瞬時の停電を避けたい機器はUPSで守る必要があります。

  • 電化の差額は機器費・配管工事・既存ボイラの撤去や維持費、補助金を含みません。浴場の熱量は源泉の温度・湯量・浴槽で大きく変わります。

お問い合わせ

チャットサポート:24時間365日受付(有人対応は平日9:00〜17:00)/TEL:070-3669-8761/Mail:info@enegaeru.com

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