エネがえるが公開した試算記事「雪国の産業用太陽光は元が取れない?冬の発電ゼロ4パターン×業種別に864ケースを実試算【2026年11月最新単価】」の要点を、販売施工店・EPCの皆さまが北海道・東北・北陸のお客様(工場・倉庫・店舗・事業所)へご説明する際の参考としてまとめました。数値は合成した需要プロファイルによる傾向で、個別の施設の結果を保証するものではありません。
3つの答え
太陽光は、冬3か月の発電ゼロを見込んでも元が取りやすい見込みです。12〜2月ゼロの216ケース(9都市×4業種×2規模×電気代上昇率3)すべてが、保守費・パワコン交換込みで13.6年以内に回収し、中央値は9.6年でした。冬のゼロを見込まない場合は中央値7.8年で、差は中央値で約1.8年(1月ゼロで約0.5年、1〜2月ゼロで約1.2年)です。
冬のゼロを見込むなら、蓄電池は電気代の削減だけでは元が取りにくい結果です。1月・1〜2月・12〜2月ゼロの648ケースで、蓄電池(契約電力の0.4時間分、14万円/kWh)の上乗せ分が15年以内に回収できたケースは0でした(現実的な制御=完全予見のピーク削減の7割の仮定)。雪で発電がゼロの冬の平日は、昼の需要が約9時間平らに続き、小さな蓄電池では最大需要を下げにくいためです。冬の30分デマンドの形で確認してください。
雪国は「冬のピーク」と「熱」を先に見ます。冬に発電が止まると、契約電力(基本料金)は冬の月の最大需要で決まりやすくなります。暖房をヒートポンプにする場合、冬のCOPが2前後なら灯油(税込120円/L)と燃料・電力量の費用がほぼ同じで、契約電力が上がると北海道の業務用電力では1kWあたり年約2.8万円(税抜)の基本料金が上乗せされます。
押さえたい数字
項目 | 試算結果 |
太陽光の回収年数(保守費・交換費込み、中央値) | ゼロなし7.8年/1月ゼロ8.3年/1〜2月ゼロ9.0年/12〜2月ゼロ9.6年(最長13.6年) |
冬のゼロによる発電量の減少 | 1月ゼロで約5〜7%、12〜2月ゼロで約16〜20%(屋根10°、9都市) |
設置費が上がった場合(12〜2月ゼロ) | +15%で216ケース中213が15年以内(中央値10.9年)、+30%で193(中央値13.1年) |
角度 | 30〜45°で年間の発電が10°より約6〜12%増(積雪なしの気象データ)。60°では10°比−1〜+8%で30〜45°より少ない。緩い屋根の上で架台だけを立てても、建物の屋根の積雪荷重は下がりません。風荷重・列の間隔・設置費の増加と比べて判断 |
停電時(札幌の工場、太陽光80kW+蓄電池40kWh・出力20kW、重要負荷10kW) | 1月9時の停電で雪がなければ9時間、雪で発電ゼロなら3時間。夕方17時は約3時間 |
何もしない場合との差(札幌の工場100kW、1〜2月ゼロ) | 20年で約1,948万円(電気代上昇年2%、税抜・名目) |
前提:北海道電力・東北電力・北陸電力の2026年11月7日時点の高圧の公表単価(北海道・東北は11月1日実施、北陸は4月1日実施の電気標準約款Ⅱ。燃料費等調整は2026年12月分)、需要は業種別の合成プロファイル、屋根10°、設置費は高圧100kWで20万円/kW・300kWで18万円/kW、電気代上昇率1〜3%、税抜。冬の発電ゼロの月数は仮定です。
トーク例(断定を避けた言い方)
「公開試算では、冬の12〜2月に発電がゼロでも、工場・倉庫の屋根の太陽光は保守費込みで10年前後で回収する傾向でした。冬に何か月止まるかを御社の屋根の条件で決めて、試算させてください。」
「冬に発電が止まると、基本料金は冬の最大需要で決まりやすくなります。30分デマンドデータで冬のピークの時刻と原因の設備を確認しましょう。」
「蓄電池は、雪国では電気代だけでは勧めにくいという結果でした。停電のときに何を何時間守るかを決めて、出力と容量を確認しましょう。」
「暖房のヒートポンプ化は、冬の効率と基本料金の増加まで入れて比べるのがポイントです。燃料の請求書を見せていただけますか。」
エネがえるBizで同じ比較をするポイント
お客様の30分デマンドデータ(1年分)を取り込み、冬(12〜2月)の最大需要の時刻を確認します。データがない場合は業種別ロードカーブを使い、その旨をお客様に伝えます。
月別の発電量の補正で冬の発電を下げたパターン(例:1〜2月ゼロ、12〜2月ゼロ)を作り、回収年数の幅でご説明ください。
基本料金の削減は1年目から全額にならない(直近12か月の最大需要で決まる)ことと、保守費・パワコン交換・耐雪仕様の費用を前提条件に明記します。
ご注意
記事の数値は合成プロファイルによる傾向で、個別施設の結果ではありません。「冬でも必ず元が取れる」とはお伝えにならないでください。
屋根・架台の積雪荷重は、地域ごとに特定行政庁が定める垂直積雪量で設計者が確認します(架台の荷重はJIS C 8955など)。パネル上の雪下ろしはしない前提で、落雪の範囲と安全対策を確認してください。
停電時に太陽光・蓄電池を使うには、自立運転機能や切替盤が必要です。自立運転への切替には時間がかかる機種が多く、瞬時の停電を避けたい機器はUPSで守る必要があります。雪で発電が止まる冬は、太陽光による充電は期待できません。
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