📊 「最低購買電力(kW)」の意味と適切な設定方法
⭐ 「最低購買電力」とは何ですか?
「最低購買電力」とは、自家消費型太陽光発電システムのシミュレーションにおいて、常に系統から購入するよう確保しておく最低限の電力量を指定するパラメータです。
これを設定することで、実際の負荷追従制御装置による「系統からの最低購入電力確保」と「発電抑制」の動作を、シミュレーションに反映できます。
🔄 なぜ必要なのですか?(負荷追従制御との関係)
実際の負荷追従制御には以下のような特性があります:
逆潮流防止が最優先: 発電量が需要を超えないよう制御する必要があります
制御には誤差・遅延が発生: 瞬間的な需要変動に対して完全に追従できません
安全マージンの確保: 実務では逆潮流防止のため、需要より少し低めに発電を抑える設定が一般的です
エネがえるBizでは負荷追従制御そのものを厳密にシミュレーションしていませんが、「最低購買電力」を設定することで、この安全マージンによる発電抑制効果を簡易的に反映できます。
📉 設定しないとどうなりますか?
設定しない場合(0kWの場合):
シミュレーション上は「需要と発電量が完全に一致」することになり、理想的すぎる結果になります
実際は制御誤差や安全マージンのため、数%~10%程度の電力は常に系統から購入することになります
その結果、自家消費率や電気代削減効果を過大評価してしまう可能性があります
🎯 どのように設定すれば良いですか?
一般的な推奨値は、**施設のピーク需要の5~10%**です。例えば:
施設の最大需要(ピーク)が500kWの場合 → 25~50kWを設定
高性能な最新の負荷追従制御装置なら5%程度(25kW)
負荷変動が激しい工場や精度の低い装置なら10%程度(50kW)
📋 メーカー/装置別の設定目安
主なメーカーの負荷追従精度と推奨設定値:
メーカー/装置 | 追従精度 | 推奨最低購買電力設定 |
オムロン | 約99% | 需要の1~3% |
Wave Energy(みまもる君) | 約99% | 需要の1~3% |
ファーウェイ(高性能設定時) | 95%以上 | 需要の3~5% |
ラプラス・システムズ | 90%程度 | 需要の10%程度 |
旧式/低性能システム | 70~80% | 需要の20~30% |
🔍 設定値の決め方(具体例)
🏭 工場(最大需要500kW)の場合:
標準的な設定:500kW×7%=35kW
高性能制御装置使用時:500kW×3%=15kW
負荷変動が激しい場合:500kW×10%=50kW
🏢 物流センター(最大需要200kW)の場合:
標準的な設定:200kW×7%=14kW
高性能制御装置使用時:200kW×3%=6kW
負荷変動が激しい場合:200kW×10%=20kW
⚠️ この設定が財務シミュレーションに与える影響
投資回収計算: 最低購買電力を設定すると、その分の太陽光発電を利用できないため、売電収入や電気代削減額が少なく計算されます
ピークカット効果: 設定値分だけピーク時の買電量が残るため、デマンド契約の削減効果が控えめになります
現実的な試算: 過大評価による「計画倒れ」を防ぎ、実現可能な経済効果で判断できます
💡 シミュレーションのベストプラクティス
装置仕様を確認: 採用予定の負荷追従制御装置の性能仕様を確認
複数パターンで試算: 最低購買電力を5%・7%・10%など複数パターンで試算
保守的に判断: 重要な投資判断では、やや控えめな設定(7~10%)で評価
経年劣化も考慮: 太陽光発電設備の経年による発電効率低下も加味
最新の高性能システムでは1%程度の誤差まで精度が向上していますが、負荷特性やシステム構成によって実際の挙動は変わるため、シミュレーション段階では安全側に評価することをお勧めします。