変換効率は、電気が通る経路ごとに反映します。単機能型とハイブリッド型では経路が異なるため、定格容量だけをそろえても、充電量・放電量・経済効果は同じになりません。対象は家庭用ASPとEV・V2Hです。
登録値はどこから来ていますか?
蓄電システムの型式ごとに、実効容量、充放電出力、変換効率、待機電力などの情報を登録しています。原則としてメーカー提供情報を使いますが、一部製品には一般的な参考値を設定しています。その場合、登録製品一覧に「一部参考値」と記載しています。「全機種の全項目がメーカーの保証値」とは扱わないでください。
利用する型式と登録条件は、本記事に加え、製品選択画面とメーカーの該当型式の資料で確認してください。
実効容量と変換効率は別のものです
実効容量は日常の充放電に使える容量、変換効率は電気の変換後に残る割合です。充電する手前の電力量、蓄電池内部で使える容量、住宅に届く放電量を区別してください。実効容量を考慮したうえで、必要な経路の変換ロスも考慮します。
実効容量率の設定と発電・充電・放電の表示位置もご覧ください。
計算の基本と、二重計上を避ける方法
経路に入る電力量×その経路の効率=変換後に届く電力量です。独立した変換段階が複数ある場合は、それぞれの効率を掛け合わせます。
説明用に、ある1段階の入口を10kWh、効率を95%と仮定すると、出口は10×0.95=9.5kWh、差は0.5kWhです。これは仕組みを示す仮の値で、特定製品の登録値ではありません。
仕様書の効率が片道、往復、PCS単体、システム全体のどれかを確認してください。往復効率を充電と放電へ二度掛けたり、すでに損失を引いた電力量へ同じ効率を再度掛けたりすると、ロスを二重計上します。
単機能型:太陽光PCSと蓄電池PCSを分けて考えます
太陽光を住宅で直接使う経路は、太陽光パネル(DC)→太陽光PCS→住宅(AC)です。直接自家消費へ回す電力量に、その経路の効率を反映します。
太陽光から蓄電池へ充電する代表的な経路は、太陽光パネル(DC)→太陽光PCS(ACへ変換)→蓄電池PCS(充電用DCへ変換)→蓄電池です。蓄電池内部へ届く量=充電に回す太陽光の電力量×太陽光PCS効率×蓄電池側の充電経路効率、と整理します。
発電した全量を、直接自家消費・充電・売電の各式へ重複して入れるわけではありません。それぞれへ振り分けた量に、その経路の効率を適用します。
ハイブリッド型:太陽光と蓄電池をつなぐ経路が異なります
太陽光から蓄電池へは、交流に変えずDC/DC変換を通じて充電する経路があります。蓄電池内部へ届く量=充電に回す太陽光の電力量×太陽光・蓄電池間の経路効率、と考えます。住宅の交流負荷へ供給するときには、別途DC/AC変換の経路を通ります。
単機能型より常に高効率、または常に低効率とは断定できません。製品の回路・登録効率・出力・使う時間をそろえて比較します。
ASPの設定で注意すること
太陽光のみ・単機能型では、詳細入力の太陽光に設定したPCS変換効率を使用します。ハイブリッド型では、この欄の値ではなく、選択した蓄電システムに登録された内部の変換効率を使用します。
年間予測発電量や実績発電量を入力するときは、DC側かAC側かを先に確認してください。AC実績へさらに同じ変換ロスを掛けないよう、年間発電量の入力方法に従います。ハイブリッド型では太陽光の効率欄を100%へ変えるだけの調整は使えません。測定位置が不明なら、推測で効率を逆算せず資料を確認してください。
レポートの充電量は、内部へ届く量と同じですか?
同じではありません。ASPレポートの蓄電池充電量は、充電経路の変換損失を差し引く前の値です。上で説明した「内部へ届く量」の式の結果を、そのままレポートの充電欄へ当てはめないでください。表示される電力量の位置をそろえて比較します。
計算に反映することと、実機の変動を再現することは別です
実機の効率は負荷率、温度、残量などで変わり得ます。これらすべての変動をモデルが個別に再現している、という意味ではありません。ASPは発電・PCS制限の前処理後に月別・時間帯別へ平均化し、電気使用・充放電を試算します。365日それぞれの天候に沿った蓄電池運転を再現する方式ではありません。
実効容量や変換ロスの反映と、年数に応じた容量劣化の反映も別です。ASP V4の蓄電池の経年劣化を確認してください。
EV・V2Hの場合と、比較時の確認順
定置型蓄電池の効率値を、そのままEV・V2Hに流用しないでください。EV車載電池・V2H機器、接続時間、走行分、利用可能容量などの条件を確認します。V2H機器とEV車種の接続可否はエネがえる側で自動判定していないため、提案前にV2Hメーカーの対応車種情報をご確認ください。V2H対応車種の確認方法もご覧ください。
数値が合わないときは、①対象製品と型式、②充電の入口・内部・放電の出口、③効率の測定範囲、④容量・出力・時間帯、⑤元の発電量と需要の順にそろえます。数値の差があることだけで不具合とも正常とも断定せず、同じ条件で比較してください。
