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エネがえるBiz:発電シミュレーションより実発電量が約15%少ない(前提条件変更なし/機器不良なし)が要因は?想定要因と切り分け

以下にて想定要因を記載しております。ご参照ください。鳥の糞が要因だったというケースが多いです。

樋口 悟 avatar
対応者:樋口 悟
1か月以上前に更新

FAQ:発電シミュレーションより実発電量が約15%少ない(前提条件変更なし/機器不良なし)—想定要因と切り分け

0. まず押さえる前提(エネがえるBizの推計ロジック)

  • 発電量推計:JIS C 8907 の発電電力量推定式(総合設計係数K=基本設計係数など)をベースに、日射は NEDO METPV-20(2010–2018、全国835地点、時刻別) を用いて 365日×1時間毎で推計する想定。 (NEDO)

  • METPV-20は「直近実績」ではなく、2010–2018を母集団にした 代表年(平均年/多照年/寡照年 ※エネがえるは平均年参照)の考え方で、年による天候の振れを完全には一致させません。 (NEDO)


1. 差が出る“本質”:どこでエネルギーが消えるか(MECE分解)

「前提も機器も変わらないのに -15%」は、だいたい以下の複合で起きます。

A. 日射が違う(気象の年振れ/局所気象/代表地点ズレ)

症状の特徴

  • 月別で見ると「特定季節(梅雨・秋雨・台風期など)」にまとまって下振れ

  • 晴天日に限ればシミュレーションに近いが、曇雨天が多い年だと積算が落ちる

起きる理由

  • METPV-20は2010–2018を母集団にした代表年。運用期間(例:2023–2025)が寡照寄りなら、前提変更なしでも実績は下振れします。 (NEDO)

  • さらに、METPVは835地点の代表点なので、沿岸霧/山影/積乱雲の通り道などの局所性でズレます。 (NEDO)

切り分け最短

  1. 月別の実績kWhを出す

  2. 同期間の最寄り気象官署の「全天日射量(月)」の前年差・平年差を見る(後述の手順)


B. 温度(セル温度)が想定より高い(“故障ではないが効率が落ちる”)

症状の特徴

  • 夏場(高温期)にギャップが大きい

  • 晴天日の正午前後で、発電が“思ったより伸びない”

起きる理由

  • 結晶Siは温度上昇で出力が下がり、レビュー・実測整理では 約0.4〜0.5%/℃ 程度が一般的な目安として扱われます。 (Nature)

  • 屋根密着・通風不足・折板直置き・都市ヒートアイランド・無風日多い等で、モデルよりセル温度が上がると年合計で数〜10%級が起こり得ます。

チェック

  • 可能ならPCS/モニタの「モジュール温度」or「背面温度」ログ

  • ない場合:夏季のPR(後述)だけでも温度影響の当たりが付きます


C. 汚れ(ソイリング)/黄砂・花粉・煤塵・塩害ミスト・鳥糞

症状の特徴

  • 春(花粉)・黄砂シーズン・農繁期(粉塵)に下がる

  • 雨の後に少し回復、乾燥が続くと悪化

  • 鳥糞があると“点”でもストリング単位で効く(見た目以上に落ちる)

根拠

  • IEA PVPSの整理では、ソイリングは平均で 4〜7%のエネルギーロスになり得るとされています。 (IEA-PVPS)

チェック

  • ドローン/写真で汚れ分布、鳥糞の位置(セル列を跨ぐか)

  • 清掃(部分でも)後の数日比較で効果が見えることが多い


D. 影(シェーディング)の“じわ増え”/微小構造物影

症状の特徴

  • 冬だけ落ちる(太陽高度が低く影が伸びる)

  • 特定時刻だけ“段落ち”する

原因例(前提変更なしでも増える)

  • 樹木の成長

  • 手すり・避雷設備・配管・アンテナの影

  • 周辺建物の反射・影の季節差

チェック

  • 晴天日の時刻別波形で「同じ時刻に毎日落ちる」→影疑い濃厚


E. 出力抑制/逆潮流制限/電圧上昇抑制(系統都合の“見えないロス”)

症状の特徴

  • 晴天でもピークが伸びない・日中に抑え込まれる

  • PCSログに制御・抑制系のステータスが残る場合あり

根拠(例)

  • 経産省資料では、2024年度の九州本土で再エネ全体の出力制御率が約6%程度見込みなど、地域・年度で無視できないことがあります。 (経済産業省)

チェック

  • 電力会社・OCCTO/一般送配電の情報、PCSログ(有効電力が頭打ちになる時間帯)


F. クリッピング(DC過積載/PCS容量上限)・計測点の違い

症状の特徴

  • 晴天日の正午付近が“平ら”(頭打ち)

原因

  • DC/AC比が高い設計

  • 連系点電圧上昇で出力を絞る(電圧上昇抑制)

  • 比較している発電量の定義が違う(DC側・PCS後AC側・受給メーター・自家消費含む/含まない)


G. “故障ではない”軽微な性能低下(経年劣化・初期劣化・接触抵抗増など)

症状の特徴

  • 年々じわっと悪化、停止やアラームは出ない

  • ストリング間でバラつきが出る

チェック

  • ストリング電流の偏り、I–V測定(可能な場合)


2. 15%下振れを最速で切る:チェックリスト(優先順)

Step 1:比較している“値”の定義合わせ(ここで一発解決が多い)

  • シミュレーション値は PCS後AC?それとも DC推計

  • 実績は 受給メーター(連系点)モニタ積算

  • 期間は「検針締め日」か「暦月」か(集計期間のズレ)

  • 欠測(通信途絶)を0扱いしていないか

Step 2:晴天日1日の“時間別波形”を見る(原因が見える)

  • 正午が平ら → クリッピング/電圧上昇抑制/出力抑制

  • 特定時刻だけ段落ち → 影(構造物・樹木)

  • 夏の晴天で伸びない → 温度影響

Step 3:月別乖離で「季節要因」を確定

  • 夏だけ悪い → 温度・電圧上昇

  • 春だけ悪い → 花粉・黄砂・汚れ

  • 冬だけ悪い → 影・積雪

Step 4:日射(その年の寡照)を数値で押さえる

  • 気象庁は「1990頃〜2000年代初めに増加、その後は大きな変化は見られない」という整理で、“直近だから一律に低い”とは言いにくい(年々の天候差が支配的)。 (気象庁データ)

  • したがって「直近がMETPVより低いか」は、地点×期間で検証するのが最短です。


3. 「直近日射量はMETPV-20より低い傾向?」へのFAQ回答(運用向け)

  • 全国一律で“直近が低い”と断定できる統計傾向は取りにくいです。気象庁の整理では、国内の全天日射量は1990頃〜2000年代初めに増加し、その後は大きな変化は見られない、とされています。 (気象庁データ)

  • 一方で、METPV-20は2010–2018母集団の代表年なので、2019年以降の特定年が寡照なら、比較期間によっては「直近の方が低い」ことは十分起こります。 (NEDO)

  • 実務上は「直近だから低い」というより、
    (A)その年の天候(雲・梅雨・台風)×(B)局所性(霧・山影) が効く、が現実に近いです。


4. エネがえるBiz運用での“提出テンプレ”(これがあると原因特定が速い)

  • 設置地点(市区町村)/緯度経度(概略でも可)

  • 期間(例:2025/01〜2025/12)

  • 実績:月別kWh(できれば日別も)

  • 波形:晴天日1日の時刻別(kW)+その日の天気

  • 連系情報:電力エリア、PCS容量、DC容量、力率設定、電圧上昇抑制設定の有無

  • 清掃履歴/周辺環境(道路・海・農地・樹木)


参考URL(一次情報・根拠)

NEDO:日射量データベース(MONSOLA-20 / METPV-20) https://www.nedo.go.jp/seika_hyoka/ZZFF_100041.html  

NEDO:日射量データベース解説書(2010–2018、全国835地点、時刻別など) https://www.nedo.go.jp/content/100930737.pdf

気象庁:全天日射量と下向き赤外放射量の経年変化(国内傾向の整理) https://www.data.jma.go.jp/env/radiation/diag_rad.html

気象庁:気候変動監視レポート(放射・エーロゾル等の背景整理) https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/monitor/2022/pdf/ccmr2022_chap2.pdf IEA PVPS:Soiling losses fact sheet

(平均4–7%ロスの整理) https://iea-pvps.org/fact-sheets/fs-soiling-losses/ https://iea-pvps.org/wp-content/uploads/2025/09/Fact-Sheet-Task-1316-Soiling.pdf

経産省:2024年度 出力制御見通し(例:九州など) https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shoene_shinene/shin_energy/keito_wg/pdf/050_s02_08.pdf

建築研究所等の資料:JIS C 8907に基づく発電量推定の説明(式と係数の考え方) https://www.kenken.go.jp/japanese/contents/publications/data/188/2.pdf

📒切り分け方法

症状

  • 発電シミュレーション(エネがえるBiz:JIS式+NEDO METPV-20の時刻別日射)より、実発電量が約15%少ない

  • 入力した前提(方位・傾斜・容量など)に変更なし

  • 機器の明確な故障・停止なし


結論(まず押さえること)

-15%の乖離は “単一要因” ではなく、複数の小さなロスが積み上がって起きることがほとんどです。

特に多いのは ①比較の定義ズレ(どの地点の電力量を見ているか)+②汚れ/温度/影/抑制のどれかの組み合わせです。


また、METPV-20は 2010–2018・全国835地点の代表年の時刻別日射量であり、直近の特定年の天候(寡照/多照)や局所気象で上下し得ます。 (NEDO)


診断フロー(ここから“パターン”で選んでください)

まず1つだけ確認(最優先)

Q0. 「実績として見ている発電量」はどの計測点ですか?

  • 連系点(受給メーター) / PCS出力(AC) / パネル側(DC) / モニタ積算(欠測あり)
    → ここがズレると、故障なしでも-10%級が普通に出ます。


✅ パターン:どれが一番近い?

[A] 影(シェーディング)っぽい:特定時刻・冬季に落ちる/段落ちする
[B] 汚れ(ソイリング)っぽい:春(花粉)・黄砂・乾燥期に落ちる/雨後に戻る
[C] 温度(高温)っぽい:夏にギャップ拡大/晴天でも伸びが弱い
[D] 抑制(系統・制御)っぽい:ピークが平ら/晴天日の日中に頭打ち
[E] 定義ズレ(計測・集計)っぽい:波形は良さそうなのに積算だけ合わない/欠測がある

どれかわからない場合:晴天日1日の時刻別波形(kW)を1枚見ると一発で寄ります(「正午が平ら」「段落ち」「全体的に低い」など)。


[A] 影(シェーディング)っぽい場合

よくある原因(前提変更なしでも増える)

  • 樹木の成長、季節による太陽高度変化(冬だけ影が伸びる)

  • 手すり・アンテナ・配管・避雷設備など細い影

  • 鳥糞など点状遮蔽(見た目以上にストリングに効く)

すぐできる確認

  • 晴天日の時刻別波形で、**毎日同じ時刻に“段落ち”**していないか

  • 現地写真(冬/朝夕)で影の入り方を確認(スマホでOK)

対処(優先順)

  1. 影の原因物を移設・撤去(アンテナ/配管/手すりの位置最適化)

  2. 樹木剪定(影の“冬季ピーク時刻”を基準に)

  3. ストリング再配線・MPPT分割(可能なら)

  4. マイクロインバータ/オプティマイザ検討(部分影が多い場合)


[B] 汚れ(ソイリング)っぽい場合

よくある原因

  • 花粉・黄砂・煤塵・農地粉塵・塩害ミスト

  • 鳥糞(点でも局所ホットスポットやバイパス動作で効く)

根拠(目安)

IEA PVPSは、ソイリングが平均4〜7%の世界的エネルギーロスになり得ると整理しています(立地で上下)。 (IEA-PVPS)

すぐできる確認

  • ドローン/地上写真で汚れ分布(“縁”や“下段”が濃いことが多い)

  • 雨後に戻るなら汚れ寄り

  • 一部清掃(1ストリング相当でも可)して数日比較(改善が出れば確定)

対処

  1. 清掃(頻度は立地で最適化:海沿い・幹線道路・造成地は高頻度化)

  2. 鳥害対策(止まり木・糞受け・忌避)

  3. 監視に「清掃前後のPR比較」を組み込む(下の“提出テンプレ”参照)


[C] 温度(高温)っぽい場合

よくある原因

  • 屋根密着で背面通風が弱い(熱だまり)

  • 折板屋根直置き・都市ヒートアイランド・無風日が多い

  • 想定よりモジュール温度が上がっている

根拠(目安)

PVは温度上昇で出力が下がり、文献レビューでは**約0.4〜0.5%/℃**程度が一般的な目安として扱われます。 (気象庁データ)

すぐできる確認

  • 「夏の晴天日」だけ取り出して、シミュレーション比が特に悪いか

  • 可能ならモジュール温度(なければ外気温)と出力の関係を見る

対処

  1. 通風改善(架台高・背面クリアランス確保、遮熱対策)

  2. 配線・ストリング電圧の熱影響(電圧降下)も併せて点検

  3. 夏季PRで監視(温度影響の指標化)


[D] 抑制(系統・制御)っぽい場合

よくある原因(故障ではない)

  • 再エネの出力制御(抑制)(地域・年度で数%級)

  • 連系点電圧上昇 → PCSが出力を絞る(電圧上昇抑制)

  • 逆潮流制限、契約・設定の上限制御

  • DC過積載でPCS容量上限(クリッピング)

根拠(例)

経産省資料では、2024年度の九州本土の出力制御率が再エネ全体で約6.1%見込みなど、無視できないケースがあります(地域差大)。 (経済産業省)

すぐできる確認

  • 晴天日の正午付近が**平ら(頭打ち)**になっていないか

  • PCSログに「抑制・電圧上昇・出力制限」のステータスが出ていないか

  • 一般送配電/電力会社のお知らせを確認(例:九電送配電の案内ページ等) (九電工業株式会社)

対処

  1. クリッピング対策:DC/AC比の見直し(次回設計)

  2. 電圧上昇対策:配線・トランス・力率設定・連系点条件の再確認

  3. 抑制:オンライン制御の方式/ルールを含め、運用と見通しの把握(将来見込みも含めて説明資料に明記)


[E] 定義ズレ(計測・集計)っぽい場合(最頻出)

典型パターン

  • DC推計PCS後AC実績を比べている

  • 実績が「連系点(受給メーター)」で、構内損失・自家消費の扱いが違う

  • モニタの通信欠測が“0”扱いで積算が欠けている

  • 月次締め日(検針)と暦月のズレ、うるう年/日数ズレ

すぐできる確認

  • 実績データの出所(計測点)を1行で言語化できるか

  • 欠測(空白/0)がないか、欠測補間ルールがあるか

  • 同じ期間で「PCS積算」と「受給メーター」を並べて差分を見る

対処

  1. 比較軸を統一:“PCS後AC(発電所側)”でまず合わせる(推奨)

  2. 欠測補正ルールの整備(Intercom内で標準手順化)

  3. レポートに「計測点の定義」「集計期間」「欠測の有無」を必ず併記


追加:直近日射量はMETPV-20より低い傾向?

  • 気象庁の整理では、日本の全天日射量は1990年頃〜2000年代初めに増加し、その後は大きな変化は見られないとされています。 (気象庁データ)

  • したがって「直近だから一律にMETPV-20より低い」とは言いにくく、地点×期間×季節で検証するのが最短です。

  • METPV-20自体は2010–2018母集団の代表年である点は要注意です。 (NEDO)


提出テンプレ(このままコピーして問い合わせに貼り付け)

以下を送ってください。これだけで原因の当たりがほぼ付きます。

1) 基本情報

  • 設置場所(市区町村まで):

  • 需要家種別(住宅/産業/公共):

  • 運用期間(例:2025/01/01〜2025/12/31):

  • 電力エリア(一般送配電エリア):

2) 設計・機器

  • PV容量(DC kW):

  • PCS容量(AC kW):

  • DC/AC比:

  • 方位・傾斜:

  • 架台方式(屋根密着/置き架台/野立て 等):

  • 監視有無(PCSログ取得可否):

3) 実績データ(必須)

  • 月別発電量(kWh):(表 or CSV添付)

  • 可能なら:日別発電量(kWh)

  • 晴天日1日の時刻別出力(kW)※スクショでも可:

  • 実績の計測点:連系点メーター / PCS積算 / モニタ / その他(具体名)

4) 現地状況(写真でOK)

  • パネル面の汚れ写真(上段/下段/端部):

  • 影になりそうな物(樹木・手すり・アンテナ・配管):

  • 海/幹線道路/農地の近接有無:

5) 抑制・制御の有無

  • 出力抑制の通知・履歴:

  • 電圧上昇抑制の設定有無:

  • 力率設定:


参考(一次情報)

  • NEDO:日射量データベース(MONSOLA-20 / METPV-20) (NEDO)

  • NEDO:解説書(2010–2018、835地点、時刻別) (NEDO)

  • 気象庁:全天日射量の経年変化(日本は2000年代以降大きな変化は見られない整理) (気象庁データ)

  • IEA PVPS:ソイリング(平均4–7%ロス目安) (IEA-PVPS)

  • 経産省:出力制御見通し(例:九州本土 2024年度 約6.1%見込み) (経済産業省)


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