●エネがえるASPの電気代上昇率を反映したシミュレーション及び初期値の上昇率2%について
以下FAQを参照ください。
・電気代上昇率(%)を加味した診断や初期値2%のエビデンスについて
エネがえるASP(家庭用)の長期効果診断では電気代上昇率(%)を加味したシミュレーションが可能です。※ただし長期経済効果の診断結果のみに反映されます。月平均の効果額内訳には反映されません。ご留意ください。
●電力中央研究所「電気料金・燃料費・CO2排出量等に関するシミュレーション結果」 による2050年の想定電気料金
▼シミュレーション結果と分析結果の概要は?
-電力中央研究所は、2050年にカーボンニュートラルを実現するための電気料金・燃料費・CO2排出量等に関するシミュレーションを行っています¹。
・シミュレーションでは、以下の4つのシナリオを想定しています¹。
❶ベースライン:温暖化対策を想定しない場合のシナリオ
❷80%削減:2050年に1990年比でCO2排出量を80%削減するシナリオ
❸90%削減:2050年に1990年比でCO2排出量を90%削減するシナリオ
❹カーボンニュートラル:2050年にCO2排出量をゼロにするシナリオ
-シミュレーションでは、各シナリオにおける電気料金・燃料費・CO2排出量等の推移や、エネルギー供給構成や需要構造の変化などを評価しています¹。
・上記のシミュレーション結果では、電気料金は以下のようになっています¹。
❶ベースライン:2050年に1kWhあたり23.7円
❷80%削減:2050年に1kWhあたり38.4円
❸90%削減:2050年に1kWhあたり42.6円
❹カーボンニュートラル:2050年に1kWhあたり46.3円
これらの電気料金は、再生可能エネルギー発電促進賦課金や燃料費調整額を含んでいますが、消費税や各種割引は含んでいません¹。
▼電気代上昇に影響を与えるポイントとカーボンニュートラルに向けた想定は?
❶電気料金:カーボンニュートラルを実現するためには、電気料金はベースラインに比べて約2倍になると見込まれています。これは、再生可能エネルギーの大幅な拡大やCCS(二酸化炭素回収・貯留)技術の導入などによるコスト増が主な要因です¹。
❷燃料費:カーボンニュートラルを実現するためには、燃料費はベースラインに比べて約3分の1に減少すると見込まれています。これは、化石燃料の利用が大幅に減少し、再生可能エネルギーや水素・アンモニアなどの脱炭素エネルギーが増加するためです¹。
❸CO2排出量:カーボンニュートラルを実現するためには、CO2排出量は2050年に約10億トンから約0.5億トン(負の排出を含む)に減少すると見込まれています。これは、再生可能エネルギーの普及や火力発電の脱炭素化などによる削減効果と、植林やCCSなどによる負の排出効果が相乗して発揮されるためです¹。
❹エネルギー供給構成:カーボンニュートラルを実現するためには、エネルギー供給構成は大きく変化すると見込まれています。特に、再生可能エネルギーの比率は2050年に約60%に達し、太陽光や風力が主力となります。また、水素・アンモニアなどの脱炭素エネルギーの比率も約20%に達し、海外からの輸入が必要となります。一方、化石燃料の比率は約10%に低下し、主にCCS付きの火力発電に利用されます¹。
❺需要構造:カーボンニュートラルを実現するためには、需要構造も大きく変化すると見込まれています。特に、電力化率は2050年に約70%に達し、非電力部門の電化が進みます。また、省エネや物質・サービスに体化されたエネルギーの低減などにより、エネルギー需要は全体的に減少します¹。
❻技術開発:カーボンニュートラルを実現するためには、技術開発が不可欠です。特に、再生可能エネルギーのコスト低減や安定供給のための系統対策、水素・アンモニアなどの脱炭素エネルギーの生産・輸送・利用技術、CCSや負の排出技術などが重要です¹。
❼国際協力:カーボンニュートラルを実現するためには、国際協力が必要です。特に、海外からの脱炭素エネルギーの輸入や海外でのCO2貯留層の利用などには、国際的な規制や価格メカニズムなどの整備が求められます¹。
❽社会的受容性:カーボンニュートラルを実現するためには、社会的受容性が重要です。特に、再生可能エネルギーやCCSなどの導入には、地域住民や関係者との対話や合意形成などが必要です¹。
❾政策的支援:カーボンニュートラルを実現するためには、政策的支援が必要です。特に、技術開発や導入促進のための補助金や税制優遇などのインセンティブや規制緩和などが必要です¹。
❿経済的影響:カーボンニュートラルを実現するためには、経済的影響も考慮する必要があります。特に、電気料金や燃料費の上昇は家計や産業への負担となりますが、一方で新たな産業や雇用創出などのプラス効果も期待できます¹。
・参考URLと出典
-¹ 電力中央研究所「電気料金・燃料費・CO2排出量等に関するシミュレーション結果」 https://criepi.denken.or.jp/jp/kenkikaku/report/detail/Y2019/qa1910.html
▼電気代高騰に影響を与える主な8つの要因
❶燃料価格の高騰:
日本は火力発電に依存しており、その燃料である天然ガスや石炭などをほとんど輸入に頼っています。そのため、国際市場での原油価格や為替レートの変動が直接的な影響を与えます¹²⁴。
❷ロシアのガス供給停止:
2023年1月からは、ロシアがウクライナ経由で欧州に供給していた天然ガスのパイプラインを停止し、欧州での天然ガス不足が深刻化しました。これにより、欧州からアジアへの天然ガスの流れが変わり、日本の輸入価格も上昇しました²⁴ 。
❸再エネ賦課金の上昇:
再生可能エネルギーの普及に伴い、政府は発電事業者に買い取り価格を保証する制度(FIT制度)を導入しています。この制度の財源として、電気料金に賦課金が加算されています。賦課金単価は8年間で大きく値上がりし、2022年5月~2023年4月は過去最高額となりました¹²⁵。
❹電力需給バランスの悪化:
再生可能エネルギーは発電量が不安定であり、電力需要と供給のバランスを調整するために必要な燃料費も増加しています。また、原子力発電所や老朽化した火力発電所の停止により、国内では電力供給量が減少しており、需給がひっ迫するリスクも高まっています¹²⁶。
❺電気料金プランの単価上昇:
大手電力会社7社は2023年6月から規制料金と呼ばれるプランの値上げを国に申請し、平均で14%から42%の値上げが行われる見通しです。これは火力発電に使う天然ガスなどの価格が高騰し、財務体質が悪化していることなどが理由です²³⁴。
❻市場価格の高騰:
新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動の回復や中国などアジア地域での需要増加などにより、天然ガスや石炭などのエネルギー価格が急騰しています。これは市場価格と呼ばれるプランに影響を与えます。市場価格は上限金額がなく、2022年9月以降も高騰が続いています²⁴ 。
❼電気料金の負担軽減策の縮小:
政府は2023年1月から9月までの間、電気料金の激変緩和策として、家庭向けで1kWhあたり7円を補助することを決定しています。しかし、この補助は段階的に縮小される予定であり、補助が減っていくことで電気料金がさらに値上がりする可能性もあります²³⁵。
❽カーボンニュートラルの目標:
政府は2050年までにカーボンニュートラルを実現することを目標として掲げています。これに向けて、再生可能エネルギーの普及や火力発電の脱炭素化などの取り組みが必要ですが、そのためには多額の投資やコストがかかります。これも長期的には電気料金に反映される可能性があります¹⁶。
▼2030年までの電気代上昇率の予測の幅(参考値)
・電気代高騰の傾向は、エネルギー問題が根本的に解決されない限りは厳しい見通しです²⁴⁶。
・2030年までの電気代高騰の予測幅は、様々な要因によって変わりますが、一般的には 年間1~5%程度 の上昇が見込まれています²⁴⁶。
- 例えば、10万円の電気代を支払っている場合、年間1%の上昇率であれば、2030年には11万9500円、年間5%の上昇率であれば、2030年には16万2900円となります。
▼参考URLと出典
- ¹ 経済産業省「日本のエネルギー 2021年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」」 https://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/energy2021/002/
- ² サミットエナジー「日本の電気料金の推移を知る。電気代の値上げは今後も続く?」 https://www.summit-energy.co.jp/consumer/column/8535.html
- ³ NHK「大手電力7社 6月の使用分から電気料金値上げの見通し」 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230516/k10014068721000.html
- ⁴ 電力自由化EX「電気代が高い!2023年のいま高騰する原因を解説します」 https://enemanex.jp/denkidai-takai/
- ⁵ 経済産業省「再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2023年度以降の買取価格等と2023年度の賦課金単価を設定します」 https://www.meti.go.jp/press/2022/03/20230324004/20230324004.html
- ⁶ 電力中央研究所「電気料金・燃料費・CO2排出量等に関するシミュレーション結果」
https://criepi.denken.or.jp/jp/kenkikaku/report/detail/Y2019/qa1910.html
●2023年以降の電気代高騰やその背景を記載した参考資料
▼今後30年間の電気代高騰の予測
-日本の電気代は、原油価格や為替レート、再生可能エネルギーの普及などによって変動しますが、近年は高騰傾向にあります¹²。
-特に2023年6月からは、大手電力会社7社が規制料金と呼ばれるプランの値上げを国に申請し、平均で14%から42%の値上げが行われる見通しです²³ 。
-また、政府が実施している電気料金の負担軽減策は、2023年9月使用分までで段階的に縮小される予定であり、補助が減っていくことで電気料金がさらに値上がりする可能性もあります² 。
-今後30年間程度の電気代高騰の予測は、様々な要因によって変わりますが、一般的には **年間1~5%程度** の上昇が見込まれています。
-例えば、10万円の電気代を支払っている場合、年間1%の上昇率であれば、30年後には13万4720円、年間3%の上昇率であれば、24万2430円となります。
▼燃料費高騰の背景
-日本は火力発電に依存しており、その燃料である天然ガスや石炭などをほとんど輸入に頼っています。そのため、国際市場での原油価格や為替レートの変動が直接的な影響を与えます¹²。
-近年では、新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動の回復や中国などアジア地域での需要増加などにより、天然ガスや石炭などのエネルギー価格が急騰しています² 。
-さらに2023年1月からは、ロシアがウクライナ経由で欧州に供給していた天然ガスのパイプラインを停止し、欧州での天然ガス不足が深刻化しました。これにより、欧州からアジアへの天然ガスの流れが変わり、日本の輸入価格も上昇しました 。
-また、再生可能エネルギーの普及に伴い、電力需要と供給のバランスを調整するために必要な燃料費も増加しています¹²。
▼参考URLと出典
-¹ 経済産業省「日本のエネルギー 2021年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」」 https://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/energy2021/002/
-² サミットエナジー「日本の電気料金の推移を知る。電気代の値上げは今後も続く?」 https://www.summit-energy.co.jp/consumer/column/8535.html
-³ NHK「大手電力7社 6月の使用分から電気料金値上げの見通し」 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230516/k10014068721000.html
- 日本経済新聞「家庭の電気代値上げ、6月から14~42% 東電など7社」 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA160HR0W3A510C2000000/
- 経済産業省「再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2023年度以降の買取価格等と2023年度の賦課金単価を設定します」 https://www.meti.go.jp/press/2022/03/20230324004/20230324004.html
- 電力中央研究所「電気料金・燃料費・CO2排出量等に関するシミュレーション結果」 https://criepi.denken.or.jp/jp/kenkikaku/report/detail/Y2019/qa1910.html
- 三菱総研「エネルギー価格高騰と日本経済への影響」 https://www.mri.co.jp/news/report/pdf/20230128.pdf
- 野村総研「ロシア・ウクライナ間で高まる緊張と欧州天然ガス市場」 https://www.nri.com/jp/knowledge/report/lakyara/2023/pdf/lkr20230117.pdf