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【ASP】【EV・V2H】蓄電池の変換効率の計算方法を知りたい

ハイブリッド、非ハイブリッド(単機能)それぞれの蓄電池の変換効率の違い。特性。

対応者:樋口 悟

エネがえるASP、エネがえるEV・V2Hではこの2つの蓄電池製品を区別して、メーカーから取得した製品情報(カタログ非公開値含む:ユーザーには不可視)を製品データベースに登録し、高精度に各種変換効率ロスを含めたシミュレーションが可能なようになっています。

ハイブリッド型と非ハイブリッド型(単機能型)では、太陽光・蓄電池・住宅・系統の間を電気が通る経路が異なります。

ただし、単純に「ハイブリッド型だから常に高効率」「非ハイブリッド型だから効率が低い」とは判断できません。重要なのは、次の3点です。

  • 太陽光の電気を、そのまま住宅で使うのか

  • 太陽光の電気を、一度蓄電池に貯めてから使うのか

  • 系統から充電した電気を、蓄電池から放電して使うのか

エネがえるでは、これらの電力経路に応じて、蓄電システムごとに登録された変換効率や待機電力等を反映して診断します。

📒 エネがえるASP、EV・V2Hでの蓄電池の変換効率の計算式(図解)

エネがえるに登録されている変換効率

エネがえるASP・EV・V2Hには、蓄電システムごとに、次のような製品情報が登録されています。

  • ハイブリッド型/非ハイブリッド型の区分

  • 実効容量

  • 充電・放電可能出力

  • 充電・放電に関係する変換効率

  • 待機電力

  • その他、診断に必要な製品固有条件

原則として蓄電池メーカーから提供された情報を使用していますが、一部製品については一般的な参考値を設定しています。登録製品一覧では、参考値を使用している製品に「一部参考値」と記載しています。


このため、同じ定格容量の蓄電池でも、製品ごとの変換効率、実効容量、出力、待機電力等の違いにより、充電量・放電量・経済効果が異なる場合があります。


📒 変換効率の基本的な考え方

電気が複数の変換機器を通る場合、経路全体の効率は、原則として各変換効率の積で考えます。

経路効率 = η₁ × η₂ × η₃ …

たとえば、各変換効率を説明用に次のように置きます。

  • PVパワコン効率:98%

  • 蓄電池充電効率:95%

  • 蓄電池放電効率:95%

太陽光から蓄電池へ充電するまでの説明上の効率は、

98% × 95% = 93.1%

充電した電気をさらに蓄電池から住宅へ放電する場合は、

98% × 95% × 95% = 約88.4%

となります。

ただし、これは仕組みを理解するための単純な計算例です。エネがえるに登録されている実際の効率値ではありません。


また、メーカー仕様の「変換効率」が、次のどれを示すかは製品によって異なります。

  • DC/AC変換の片道効率

  • 充電効率

  • 放電効率

  • 充放電を合わせた往復効率

  • PCS単体の効率

  • 蓄電池や補機を含むシステム効率

メーカーが往復効率を示している場合に、同じ数値を充電時と放電時の両方へ重ねて掛けると、損失を二重計上することになります。製品を手動登録・比較する場合は、効率値の測定範囲と定義をご確認ください。

📒 非ハイブリッド型(単機能型・AC連系)

非ハイブリッド型では、一般的に太陽光発電用パワーコンディショナと、蓄電池用PCSが別々に設置されます。


🔵太陽光をそのまま住宅で使う場合

代表的な電力経路は次のとおりです。

太陽光パネル(DC)→ PVパワコン(DC/AC)→ 住宅負荷(AC)

説明上の計算式は、

PV直接自家消費量 = 太陽光パネル発電量 × PVパワコン効率

となります。


🔵太陽光から蓄電池へ充電する場合

代表的なAC連系システムでは、太陽光の直流電力を一度交流へ変換し、蓄電池側で再び充電可能な直流へ変換します。

太陽光パネル(DC)→ PVパワコン(DC/AC)→ AC母線 → 蓄電池PCS(AC/DC等)→ 蓄電池


説明上の計算式は、

PV由来充電量 = 太陽光パネル発電量 × PVパワコン効率 × 蓄電池充電経路効率

となります。


🔵蓄電池から住宅へ放電する場合

蓄電池(DC)→ 蓄電池PCS(DC/AC等)→ 住宅負荷(AC)

説明上の計算式は、

負荷へ供給できる電力量 = 蓄電池出力電力量 × 蓄電池放電経路効率

となります。


非ハイブリッド型は既設の太陽光パワコンをそのまま利用できる製品があり、後付け時の選択肢になりやすい点が特長です。一方、太陽光の余剰電力を蓄電池へ貯める経路では、DC→AC→DCの変換が生じるため、その経路の変換損失を考慮する必要があります。


NRELも、一般的なDC連系方式は、AC連系方式で生じる追加のDC→AC→DC変換を回避できるため、PVから蓄電池へ充電する経路の往復効率が高くなる可能性を示しています。


📒 ハイブリッド型(DC連系)

ハイブリッド型では、太陽光発電と蓄電池の電力変換機能が一体化または連携されています。


🔵太陽光をそのまま住宅で使う場合

代表的な経路は次のとおりです。

太陽光パネル(DC)→ ハイブリッドPCS(DC/DC・DC/AC)→ 住宅負荷(AC)


説明上の計算式は、

PV直接自家消費量 = 太陽光パネル発電量 × PV・負荷間の経路効率

となります。


ハイブリッド型でも住宅内の一般的な交流負荷へ供給する際にはDC/AC変換が必要です。

したがって、「ハイブリッド型は変換が2段だから、太陽光の直接自家消費では必ず非ハイブリッド型より効率が悪い」とは断定できません。実際の差は、PCSの回路構成、製品固有の変換効率、出力、運転負荷率等によって異なります。


たとえばパナソニックのハイブリッド型システムでは、太陽光発電電力変換効率96.5%という仕様例があります。ただし、この値は定格出力時・指定力率・JIS C 8961に基づく値であり、すべての運転点で常に同じ効率になることを意味しません。


🔵太陽光から蓄電池へ充電する場合

代表的なDC連系システムでは、太陽光の直流電力を交流へ変換せず、DC/DC変換を通じて蓄電池へ充電できます。

太陽光パネル(DC)→ ハイブリッドPCS内のDC/DC変換 → 蓄電池(DC)

説明上の計算式は、

PV由来充電量 = 太陽光パネル発電量 × PV・蓄電池間の経路効率

となります。


AC連系方式で発生するDC→AC→DC変換を省略できるため、太陽光余剰電力を蓄電池へ貯める経路では効率面で有利になる可能性があります。


ただし、これもすべての製品・運転条件でハイブリッド型が必ず上回るという意味ではありません。比較時は、個別製品の仕様値と実際の使用条件を揃える必要があります。


📒エネがえるでの計算上の違い

エネがえるでは、システム構成によって太陽光側の変換効率の扱いが異なります。


太陽光のみ/非ハイブリッド蓄電池

「詳細入力」画面の「太陽光」で設定されているPVパワコン変換効率を使用します。

パワコン容量と変換効率は、診断する太陽光設備に合わせて変更できます。


ハイブリッド蓄電池

「詳細入力」画面の「太陽光」で入力したPVパワコン変換効率は使用しません。

蓄電池メーカーから提供された値、または製品データベースに登録された内部の変換効率を使用します。

したがって、ハイブリッド蓄電池を選択した状態で、詳細入力のPVパワコン変換効率だけを変更しても、診断結果には反映されません。

📒年間発電量を直接入力する場合の注意

エネがえるへ年間予測発電量・年間実績発電量を入力する場合は、原則として「パワコンを通る前」の太陽光パネル側DC発電量を入力します。


非ハイブリッド型

入力値がすでにパワコン変換損失を反映したAC発電量である場合は、詳細入力のPVパワコン変換効率を100%にするなど、変換損失を二重計上しない設定が必要です。


ハイブリッド型

詳細入力のPVパワコン変換効率は計算に使われないため、同じ方法では補正できません。原則としてパワコン前のDC発電量へ換算して入力してください。DC発電量を確認できない場合は、メーカー資料の発電量算定点を確認したうえで、エネがえるサポートへお問い合わせください。


📒 なぜ蓄電量と放電量が一致しないのですか?

蓄電池へ入った電力量と、住宅へ放電できる電力量は、通常一致しません。

主な理由は次のとおりです。

  • 充電時の変換損失

  • 放電時の変換損失

  • PCS・制御機器の待機電力

  • 蓄電池の実効容量

  • 充放電出力上限

  • 非常時用として確保する残量

  • 充放電可能時間帯

  • 電力需要と放電タイミングの不一致

エネがえるでは、製品ごとの変換ロスや待機電力等を反映するため、蓄電量と放電量に差が生じます。


📒 変換効率は一定ではありません

メーカー仕様に掲載される変換効率は、定格出力など所定の測定条件における値であることがあります。

実際の効率は、次の条件でも変化します。

  • 充電・放電電力

  • 定格出力に対する負荷率

  • 蓄電池残量

  • 温度

  • 系統電圧

  • 制御モード

  • 待機時間

  • 補機電力

  • 経年劣化

そのため、カタログの最大変換効率だけで年間の経済効果を比較するのは適切ではありません。エネがえるでは、変換効率だけでなく、実効容量、出力、待機電力、運転時間、太陽光余剰量、住宅の時間帯別需要などを組み合わせて診断します。


エネがえるASP・EV・V2Hは、月別・時間帯別の電力使用パターンを用いて計算します。実測した365日すべてを秒・分単位で再現するシミュレーションではないため、実績との差を確認する場合は、入力した年間使用量、生活スタイル、太陽光発電量、料金プラン、運転モードもあわせてご確認ください。


📒 EV・V2Hの場合

EV・V2Hでは、次の電力変換も考慮対象になります。

  • 系統または太陽光からEVへの充電

  • EV車載電池から住宅への放電

  • V2H機器でのAC/DC・DC/AC変換

  • EV側の充放電可能容量

  • V2Hの充放電出力

  • 走行に使用する電力量

  • EVが住宅に接続されている時間

定置型蓄電池の変換効率と、EV・V2Hの変換効率は別のものです。定置型蓄電池の効率値を、そのままV2Hへ適用することはできません。

また、V2H機器とEV車種の接続可否はエネがえる側で自動判定していないため、提案前にV2Hメーカーの対応車種情報をご確認ください。

📒 ハイブリッド型と非ハイブリッド型は、どちらがおすすめですか?

変換効率だけでは決められません。次の条件を揃えて比較してください。

  • 既設太陽光パワコンのメーカー・型式・設置年

  • 既設パワコンを継続利用できるか

  • パワコンの交換時期

  • PVパネル・ストリングとの互換性

  • PVから蓄電池へ移す年間電力量

  • 太陽光を直接自家消費する年間電力量

  • 蓄電池の実効容量と充放電出力

  • 待機電力

  • 停電時の出力・全負荷/特定負荷

  • 機器費・工事費・保証

  • 将来の増設やEV・V2H連携

既設パワコンが比較的新しく、そのまま使用できる場合は、非ハイブリッド型が工事・費用面で合理的な場合があります。


既設パワコンが交換時期に近い場合や、新築時に太陽光と蓄電池を同時導入する場合は、機器を統合できるハイブリッド型が合理的な場合があります。

最終的には、同じ太陽光発電量、電力使用量、料金プラン、蓄電容量、運転モード、導入費を設定し、エネがえるで製品別に比較してください。

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