実測CSVがあれば優先し、月別・年間総量だけなら時間内訳を仮定します。料金は公開単価と相対見積を区別し、契約に合うカスタムプランで試算してください。
1. 最初に選ぶのは、業種より「手元にあるデータ」
30分実績があるなら、業種平均に置き換える理由はありません。毎月の請求書だけあるなら、月別の総量を維持し、時間内訳だけを仮定します。年間kWhだけあるなら、年間総量を維持して月と時間へ配分します。新設工場など実績がない場合に、運転時間、休業日、設備容量を仮定する段階へ進みます。
手元の資料 | 入力の出発点 | 残る不確実性 | 次に依頼するもの |
365日分の30分実績 | 実績CSV | 欠測、単位、契約期間との不一致 | 12か月の請求明細・契約書 |
12か月のkWh | 月別総量を優先 | 時間帯・休日の配分 | 30分データ、稼働カレンダー |
年間kWhのみ | 年量を固定 | 月別季節性と時間配分 | 月別明細、操業時間 |
契約電力のみ | 運転パターンの仮定 | 年量・ピーク・休日すべて | 主要設備、営業時間、計画稼働率 |
契約電力も不明 | 設備計画から整理 | 受電設計を含む | 設計者・需要家への確認 |
この優先順位を採用すると、「精密な数字に見えるが根拠がない」という状態を避けやすくなります。ツールの数値は小数まで保存できますが、入力の確かさが小数桁に比例して上がるわけではありません。提案書には、実測か、総量だけ実績か、全量が仮定かを必ず残します。
2. 月別kWhから30分・60分CSVへ
ツールの対象期間は既定で2025年9月1日〜2026年8月31日です。これは確認日時点の前月末までの連続12か月です。開始月は変更できますが、出力には365日、月初からの連続12か月、同じ暦月の重複がないことを求めます。うるう日を含んで366日になる期間は、そのまま出力しません。
30分データの単位はkWhです。平均電力100kWが30分続いた場合の電力量は50kWhです。100という値をそのまま30分kWh欄に置けば年量が2倍になります。60分への集約は隣り合う30分kWhの合計です。kWの値を足し合わせる処理とは異なります。
出力ファイルは、30分がusepowers30.csv、60分がusepowers.csvです。CP932、BOMなし、CRLFとし、年・月・日と時刻列を持ちます。仮定の説明はCSV本文に混ぜず、条件JSONへ保存します。ファイル名だけでは案件を識別しにくいため、案件別のフォルダーへ置き、条件JSONとセットで保管してください。
月別実績を入れた場合は、各月の合計に合わせて時間配分をスケーリングします。その結果、想定ピークが契約電力を超える場合は出力を止めます。総量を無理に押し込めず、契約電力、営業時間、ベース負荷、元データの単位を見直してください。月間kWhに合わせたからといって、実際のピークが再現できたとは言えません。
公式のCSV形式・期間・単位のFAQでは、30分CSVもBiz内部で60分に集約する説明があります。本ツールでの形式確認は、Bizの実画面での取込成功を保証しません。取り込んだら月別合計、年合計、時間軸、ピーク表示を確認してください。30分最大値と60分平均最大値は一致しない場合があります。
3. カスタムプランへ転記する実務手順
最初に、現契約の請求内訳と同じ条件を再現します。マスタ管理のカスタム料金プランで複製または新規作成し、基本料金タイプ、単価、月・季節・時間帯の条件を設定します。重複や空白の時間帯がないかを確認し、保存後に対象施設へ適用します。公式の設定手順を参照してください。
入力表のTSVは、設定すべき項目をまとめた転記資料です。TSVをBizへ直接取り込む機能を意味しません。基本料金タイプや力率補正など、表と画面の項目が一対一に対応しないものは、画面での処理と重複しないように検証します。補正済み単価を入れたうえで同じ補正を二重に設定しないことが大切です。
導入前が現契約、導入後が新契約なら、別プランとして残します。同じプランを上書きし続けると、以前の提案を再現できなくなるからです。案件名、料金プラン名、適用日、見積発行日、確認者を一緒に記録し、保存した入力表と対応させます。
少なくとも代表月について、使用量と単価から計算した額を請求明細に照合します。差があれば、検針期間、日割り、丸め、基本料金対象kW、力率、支援の対象月、税、調整費の別建てを順に確認します。単価表を写し終わったことと、請求を再現できたことは別の完了条件です。
4. 市場連動型を一つの単価で扱う前に
市場連動という名称でも、30分ごとの価格へ連動するもの、月平均や時間帯平均で調整するもの、一定部分だけ連動するものがあります。市場の基準価格、エリア、時間区分、損失率、手数料、税、上限・下限、調整の反映時期を確認します。プラン名だけで計算式を選べません。
東京電力EPの公開料金表の市場価格連動メニューに記載された電力量単価を、そのままJEPXのスポット価格として扱ってはいけません。調整の基準や時間区分を含む契約の算式と一体で読みます。また「市場調整ゼロ」という名前でも、燃料費調整まで0になるとは限りません。
本ツールの市場連動検証は、同じ時点の導入前買電、導入後買電、税抜エリア価格を受け取り、「エリア価格÷(1−損失率)+その他従量」という明示的な算式例で比較します。すべての料金契約を再現するエンジンではありません。実契約の式が異なれば、適切な式による別計算を行います。
入力が2時点なら2時点分だけを計算します。365日と誤認して自動的に年換算はしません。少数のサンプル日に高値が含まれないからといって、年間の市場リスクが小さいとも判断できません。少なくとも評価対象期間をそろえ、複数年や価格上昇ケースをどう扱うかを提案条件に残します。
5. 残余買電の平均単価が上がる例
分かりやすい説明例として、昼の買電100kWhが5円/kWh、別の時間の買電100kWhが20円/kWhだとします。導入前の支払従量費は2,500円、使用量は200kWh、加重平均は12.5円/kWhです。ここで太陽光が昼の60kWhを代替すると、導入後は昼40kWhと別時間100kWhが残ります。
導入後の費用は2,200円、買電量は140kWh、加重平均は約15.714円/kWhです。平均単価は上がりましたが、費用は300円下がっています。導入前の平均12.5円に60kWhを掛けた750円を削減額とすると、この説明例では450円の過大評価になります。価格は説明用の仮定で、市場の実績を示していません。
この現象は、安い時間の買電が減り、残った買電の構成が変わった結果です。提案では平均単価の大小だけでなく、同じ時間帯ごとの買電差に、その時間帯の削減対象単価を掛けて説明します。固定費の変化はさらに分けます。
蓄電池が入ると、系統充電、放電、損失、時間移動も関係します。導入後買電が一部の時間で増えることもあり得るため、ツールは導入後kWhが導入前を上回る行を一律にエラーにはしません。ただし、単に年合計が下がったことだけで充放電の経済価値を確定しないでください。
6. 再エネ賦課金・政府支援・税の扱い
経済産業省が公表した2026年度の再エネ賦課金単価は4.18円/kWhで、2026年5月検針分〜2027年4月検針分に適用されます。本ツールの既定値はこの単価です。減免対象の施設では実際の負担を確認し、評価する期間に適用される値を入力します。経済産業省の公表資料
政府支援による値引きは期間限定の場合があります。支援がある月の安い実績だけを長期契約や長期投資へ延長してはいけません。請求書照合にはその月の値引きを、将来の投資比較には継続の根拠がある条件を使います。特別高圧では支援の経路や条件が異なることもあるため、低圧・高圧の値引きを無条件に横展開しません。
料金比較タブは税込統一の例、市場連動タブは税抜統一の例です。異なる税区分の結果をそのまま足したり引いたりしないでください。設備費、PPA単価、運用費を含む最終評価では、需要家の意思決定に合わせて税区分を統一し、Bizの表示条件と照合します。
過去の運転カレンダーと、現在確認した料金条件を組み合わせる仮定もあります。本データセットのモデル電気代は、そのような説明用のシナリオです。2025年の特定月の実請求を再現したものではありません。期間の異なるデータを使う場合は、この区別を資料の冒頭に記載してください。
7. よくある質問
電気代しか分からないとき、kWhへ逆算できますか?
平均単価を仮定すれば算数上は可能ですが、基本料金、契約電力、燃料調整、賦課金、検針期間が不明だと誤差が大きくなります。本ツールでは請求総額だけから高精度の需要を復元する機能は設けていません。請求明細のkWhを取得するか、設備・運転条件の仮定として扱います。
648モデルは、どれが最も代表的ですか?
実測統計の分位点や代表値ではありません。業種名より営業時間、休業、夜間負荷、季節変動が近いものを選びます。迷ったら、実績のある部分だけを優先し、未確認部分を仮定として明記してください。
低圧にもBizを使う意味がありますか?
事業用の需要と設備の組み合わせを検討するときは、施設のロードカーブと契約に合う形で試算することが重要です。電灯・動力の別契約、対象系統、料金設定を確認してください。住宅の世帯平均を低圧事業所へそのまま置き換えないことが出発点です。
特別高圧なら、公開単価より何%安く見ておけばよいですか?
一律の割引率を置く根拠はありません。負荷率や契約条件をそろえた有効な相対見積で確認します。公的落札の予定価格比や、条件不明の営業事例を標準割引率にしないでください。
市場調整ゼロなら価格変動を考えなくてよいですか?
名称だけでは判断できません。燃料費調整、その他の変更条項、税や賦課金が残る場合があります。契約の算式と費用範囲を確認します。
30分CSVを出せば、30分の市場価格を完全に再現できますか?
できるとは限りません。公式FAQではBiz内部の60分集約が説明されています。30分市場価格の厳密な評価が必要なら、対応APIや別計算の要否を確認します。
平均買電単価が上がったら、太陽光は逆効果ですか?
単価だけでは判断できません。安い昼間の買電が減れば、残った買電の平均単価は上がることがあります。同期間の総支払額、削減した時間帯の価値、固定費を分けて比較します。
条件表はBizへ自動で登録されますか?
登録されません。需要CSVは取込用の形式で保存しますが、実機取込を確認してください。カスタム入力表は転記資料で、料金プランを自動作成しません。結果照合にも、Bizで試算した数値を入力します。
入力した案件情報や需要CSVはどこへ送られますか?
本ツールの入力支援処理はブラウザ内で動き、入力データをサーバーへ送信する処理はありません。条件を残す場合は保存ボタンを使ってください。外部リンクで開くBizや他社サイトの利用条件は、それぞれのサービスに従います。
詳しい出典と更新条件は実務ガイドを確認してください。
監査更新(2026年9月26日・v1.1.0)
需要モデル648条件と7,776か月を、暦・運転時刻・休日の仮定から独立に検算しました。公開料金は、高圧・特別高圧54条件を東京電力エナジーパートナーの改定後料金表、低圧動力1条件を公式Webと照合しています。これは全国の実勢価格の平均、業種別の実測平均、個別案件の予測精度を示すものではありません。
必須数値を消すと0として計算される問題と、市場連動の3列入力で途中の空欄が消える問題を修正しました。不正入力時は結果を停止します。年量・月量を指定した場合はその総量を優先して時間内訳を配分し、ピーク80%の仮定は採用しません。月別丸めは非負を保つ最大剰余法とし、30分・60分データの総量を照合しました。
時間・季節で単価が変わるメニューを単一従量に転記すると誤差が出ます。このため、市場連動・低圧の季節別メニューの自動転記を停止しています。料金比較の初期値は関東の高圧ベーシックの例と仮の比較単価です。受電区分や供給エリアを変えても、見積単価は自動変更されません。契約書に従い基本・従量・調整・割引・税・力率を設定してください。休止月の基本料金半額などの個別条項も単一従量の比較式には含みません。
相対契約は見積書を正本にします。公的落札の「落札額÷予定使用量」は、その施設・期間・契約条件の参考比価です。基本料金、税、燃料費等の調整、再エネ賦課金を含む範囲を確認せずに、太陽光の削減従量単価へ流用しないでください。予定価格に対する落札率も、電力会社の標準メニューからの割引率とは異なります。
市場連動は、導入前後の同じ時刻の買電量と同じエリアの価格を用い、それぞれの従量費を合計します。3列入力には時刻列がないため、時刻・エリアの対応は利用者が照合します。平均単価×自家消費量だけで効果を判断せず、契約の損失率、手数料、上限、月平均方式、税を確認してください。Bizの公式FAQでは30分データも内部では60分に集約するため、30分価格との厳密な照合は別途確認が必要です。
Bizの試算結果を照合するときは案件名・シナリオ名・対象期間・税区分を残します。単純照合は太陽光のみを対象とし、蓄電池・売電・PPA・補助金を含む提案では追加の内訳確認が必要です。差が0でも経済性の保証ではありません。
ExcelとGoogleスプレッドシートも必須料金の空欄・不正な割引率・力率を検出し、該当する料金結果を空欄にするよう更新しました。CSVは列数・365日・CP932・非負・合計を確認していますが、エネがえるBiz本体への実機取込は未検証です。取込後は月別・年合計・単位・期間を確認してください。ヘッダー名は公式仕様では任意であり、列の順序と列数で判定します。
料金の確認日は2026年9月26日です。2026年11月の公開料金改定、新年度賦課金、燃料・市場調整、支援策は更新が必要です。監査・変更履歴に確認範囲と未検証項目をまとめました。本監査は第三者認証、総合99点の認定、精度99%を示すものではありません。
