最初の1件を、結果の説明まで完了させるチェックポイント
基本の登録順序ははじめて使う人向けガイドをご覧ください。ここでは、初回試算で迷いやすい「条件のそろえ方」「実行できないときの確認」「結果の読み違い」を、公開実画面と合わせて補足します。
対象は、需要施設・供給施設・料金条件を組み合わせるコーポレートPPAの試算です。需要家が設備を自己所有した場合の投資回収と、PPAで電力を購入する場合の費用、小売・PPA事業者の原価・粗利は、誰の収支を見るかが異なります。最初に評価する立場を決めましょう。
1. 案件メモに、計算の前提を残す
「新規診断」からプロジェクト情報を登録します。公開画面では、プロジェクト名称、顧客名、プロジェクト番号、試算開始日、メモの各欄と「プロジェクト保存」を確認できます。
名称だけでなく、今回の比較対象をメモに残すと、後で結果を再確認しやすくなります。例えば次のように整理します。
対象:代表需要施設1件と供給施設。今回追加する電源を明記
期間:需要と発電の対象期間、試算開始日
データ:実測か推計か、欠損や休業日の扱い
費用:税込・税抜、見積と原価に含める費目
未確認:契約条件や単価の確認先
これは記録の例であり、画面に自動生成される文面ではありません。
プロジェクト情報入力の公開画面例。ここは案件情報を保存する画面です。需要データ・供給電源・料金条件は、それぞれ別に設定します。
2. 需要・供給・プランをそろえ、需要施設へ適用する
供給施設と提案プランを用意し、需要施設に契約情報・使用量・適用する見積プラン・配分・再エネ目標を設定します。需要施設、供給施設、提案プランはいずれも1件以上必要です。
需要の実データがない場合には、パターン・カレンダーと月別使用量による設定方法があります。ただし、推計を使ったことを前提として残し、実測データで確認した結果と混同しないでください。需要と発電の期間、単位、比較条件が異なる場合は、先にそろえます。
プランを作成しただけでは設定完了になりません。各需要施設で、適用する見積プランが選ばれていることまで確認します。料金の入力では、託送・環境価値・容量拠出・再エネ賦課金・インバランス等のうち、案件で必要な費目が抜けていないか、見積側と原価側を分けて点検します。
3. 「配分比率100%」は、何を合計するのか確認する
確認するのは、需要施設全体に対する各電源の割当比率です。1つの需要施設の中で、PPA・ベース・ミドルを単純に足して100%にする、という意味ではありません。
説明用の例として、あるPPA電源を需要施設Aに60%、Bに40%割り当てるなら、その電源の合計は100%です。ベース電源やミドル電源の割当も、該当する電源ごとに確認します。この例は配分の考え方を示すもので、推奨比率や計算済みの試算結果ではありません。
施設を追加・削除したときは、既存の割当がそのまま残っていないか再確認してください。細かな登録仕様は入力・出力仕様で確認できます。
4. 実行できないときは、3点から切り分ける
登録不足:需要施設・供給施設・提案プランがそれぞれ登録されているか。
適用漏れ:すべての需要施設で見積プランが選択されているか。プランの作成と施設への適用を分けて確認する。
配分・データ:各電源の割当合計が100%か。使用量などのデータに欠損がないか。
実行後は試算履歴で状態を確認します。「処理中」は結果確定ではありません。「完了」になった試算の結果を開きます。エラーが続く場合は、試算の識別情報、実行時刻、表示されたエラー、直前に変えた条件を整理してサポートへお知らせください。問い合わせには必要な情報だけを添え、不要な顧客情報は含めないようにしてください。
5. 結果は「需要家の費用」と「供給側の採算」を分けて読む
需要家への説明では、まず対象期間を確認し、施設ごとの導入前後の年間電気料金と差額を見ます。PPA比率は電源構成を見る指標であり、電気料金の削減率ではありません。
次に、電源構成を確認します。公開実画面のグラフは「年間平均」の30分値で、赤線が電気使用量、積み上げがベース・ミドル・PPA・JEPXです。年間平均の形が整っていることだけで、特定日に不足がないとは判断できません。必要な場合は個別日時のデータ・出力の確認方法を相談してください。
供給施設欄の年間発電量も照合します。発電量の合計と、需要施設で利用できるPPA電力量は同じ意味ではありません。需要と発電の時間的な重なりを合わせて確認します。
需要施設の年間電気料金・PPA比率、年間平均の電源構成、供給施設の年間発電量を確認する画面例。2026年2月27日保存の公開画像で、現在の料金による再計算結果や実顧客の導入実績ではありません。この画像には、小売側の粗利明細は含まれていません。
小売・PPA事業者の採算では、見積単価・原価単価・粗利に加え、その根拠となる見積内訳と原価内訳を確認します。円の総額と円/kWhの単価を混同せず、余剰売電の控除も確認してください。
目標粗利からの逆算は、見積をどう調整するかを検討する表示です。公式仕様では、逆算結果の保存反映は別途の運用とされています。逆算値を見ただけで保存済みの提案条件が変更されたと判断せず、必要な条件を確認して再試算します。
1件目の完了条件と、2件目で確かめたいこと
初回は、次を説明できれば操作習得の目安になります。
どの需要施設・電源・プランを使った結果か
実測と推計、未確認の条件はどれか
需要家の費用差と、事業者の原価・粗利を区別できるか
提示する金額の費目と対象期間がそろっているか
結果と入力条件を対応づけて保存できているか
2件目は、完了した案件を基準に、比較したい条件を1つ変えて確認する方法がおすすめです。料金方式の比較なら、需要・供給条件はそろえ、プランと費目の違いを明記します。施設追加の比較なら、プラン適用と配分を再確認します。変更後は新しい試算結果を確認し、前の結果と取り違えないようにしてください。
試算は検討資料です。表示結果だけで見積・契約条件を確定せず、案件固有の費用・条件を別途確認します。
📒 操作手順マニュアル(画面別)
1-1. 案件一覧(プロジェクト)
案件を検索し、開く/削除/複製が可能
運用推奨:メモ欄に「前提・根拠・入力した費目」を残す(再現性が上がる)
1-2. 試算条件(シミュレーション)
需要施設
契約情報 → 使用量 → パターン/カレンダー → 見積プラン適用 → 配分比率 → 再エネ比率
の順で入力すると事故が減ります。
供給施設
太陽光・蓄電池:日射地点/パネル/PCS/蓄電池条件/実績利用の有無
市場電源:ベース/ミドル、時間帯・曜日、価格参照(過去/独自JEPX)
提案プラン
固定 or 市場連動の選択
共通費目(託送/容量拠出/環境価値/賦課金/インバランス等)を必ず確認
試算実行
実行条件(需要/供給/プラン + 見積プラン適用 + 配分比率100%)を満たして実行
1-3. 試算履歴
ステータス:処理中/完了/エラー
エラー時は、まず「見積プラン未選択」「比率合計100%」「データ欠損」を確認
1-4. 結果画面
KPI→内訳→余剰控除→粗利逆算(必要時)の順で確認
“説明責任”は内訳(見積内訳/原価内訳)が根拠になります
📒2.ユースケース別:詳細版操作手順
2-1. オフサイトPPA(複数拠点×複数電源)
供給施設(太陽光・蓄電池+市場ベース+市場ミドル)
提案プラン(固定/市場連動)
需要施設(拠点ごとに見積プラン適用+電源配分+目標再エネ比率)
比率100%→実行→結果で固定化率/市場余剰比率を説明
2-2. 小売見積(市場連動)
提案プランを市場連動で作成
独自JEPXが必要ならマスタで作成し市場電源に適用
結果の「市場調達の内訳」で根拠説明
2-3. 小売見積(固定)
固定プランの単価・条件・燃調(12ヶ月)を設定
結果の「固定プラン内訳」で根拠説明


